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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

いつか、いつも……いつまでも。@チネチッタ川崎 2022年10月15日(土)

封切り二日目。

席数154の【CINE9】の入りは二割ほど。

 

 

ハートウォーミングなラブストーリー。
偶然手にした一枚の写真に写っていた女性に恋し、
たまさか彼女が目の前に現れたことからすったもんだがあり、
最後は大団円を迎える、との。

プロットそのものはありがちで、
{ボーイ・ミーツ・ガール}の王道を行くものの、
中途予想だにしなかった仕掛けもあり、
出会いのシーンも含めツイストは効いている。

とは言え、作品の魂は細部に宿ると言う。
役者も脚本も、杜撰な面があまりにも多い
残念な仕上がりの一本。


先ず、演技の点からは
周囲を固める人々に瑕疵はない。

とりわけ主人公の祖父を演じた『石橋蓮司
姦しい叔母役の『水島かおり』、
家政婦役の『芹川藍』の何れもがイイ味を出している。

しかし肝心要の二人、
高杉真宙』にはまだ目を瞑るとしても、
関水渚』の駄目さ加減は目に余る。

〔コンフィデンスマンJP プリンセス編(2020年)〕の『コックリ』役は
科白が少なくてぼろが出なかったが、
今回は泣く/驚く/怒る/痛がるの全てのシーンで演技が白々しい。

町田くんの世界(2019年)〕で新人賞を席巻も
こんなに下手だったか?


脚本の流れも良くはない。

冒頭からして人間関係が判り辛く、
それは建物の造作の描写も同様
(ストーリーに大きく膾炙するポイントにもかかわらず)。

それらはおいおいと分かっては来るものの、
頭の中での再整理はかなり必要で
すんなりとは入って来ず、
観る側にストレスを感じさせるだけで
この手の物語りでは駄目な要素だろう。

加えて、ピースの納まりが悪く
取って付けたような、無理に次につなげるためのエピソードが多すぎで、
登場人物の重要な行動の殆どに肯定できぬ唐突感があり。

人物の描き分けも、
女性は揃いも揃ってエキセントリック、
それに比して男性はイイ人ばかりで寛容度が強すぎて
違和感がありまくり。


とは言え、若い二人の男女の成長譚。
微笑ましく最後まで鑑賞をはしたのだが。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


監督の『長崎俊一』と言えば
〔ユキがロックを棄てた夏(1978年)〕
〔九月の冗談クラブバンド(1982年)〕
〔ロックよ、静かに流れよ(1988年)〕
あたりが同時代も、最近はこんな作品も撮るようになったのね。
往時の片鱗はあまり見られぬけど。

そして主人公の叔母役の『水島かおり』は
監督の奥さんのハズだが、
実際にはあんなヒトじゃないよね?