タイトルは上手くつけたものの、所謂
「館蔵品展」。
ため、過去に観たことのある作品が多く並ぶ。
しかし不思議なことに、
並べ方が変わり、解説も付けられると、
違った文脈が浮かびあがって来るから面白い。
代表例であれば、肖像画か。
横向きなら一方的に見られる関係性も、
正面を見据えていれば、その瞳は鑑賞者の側にも向けられ、
画中の人物は当然それを意識している。
同様に社会を見つめる「視点」としての価値も
当然存在する。
貧困や環境、或いは政治的なものに対する目。
{シュールレアリスム}では、眼そのものを
モチーフとした作品も多いわけで、これは当初の想定通り多く並んでいる。
が、今回もっとも記憶に残った一枚は、
過去に何度も標題館で観た記憶のあるもの。
『新海覚雄』による〔貯蓄報国〕は戦中の
貯金をして国債を買って、戦費を捻出しましょうとの
国策に協力する人々を描いたもの。
プロパガンダ作品に近い印象も、
本来は望まずとも、世間の目があるから
表向きはその様に振る舞うケースも多かったろう。
しかし、このように空気を読んだ行いは、
往時に限ったことではなく。
繰り返し、歴史に刻まれている。
会期は~10月3日(日)まで。