封切り二日目。
席数404の【SCREEN7】の入りは二割ほど。
終映後に舞台挨拶のライブビューイングのある回だったが
それほどの入りにはなっておらず。
また客層も意外で、二人の主演男優目当ての女性がもっと多いのかと思ったら、
自分みたいなおぢさんや、カップルの比率もそこそこで。
随分とぎくしゃくした語り口だなと違和感を感じながらの鑑賞。
妙に説明口調であったり、逆に背景や過程が省略され過ぎていたり、と。
その理由はエンドロールの時に判明。
スタッフの名前と同時に流れていたのは、
本編では組み込まれていなかった数々の映像。
調べてみると「WOWOW」で60分×6話のオリジナルドラマの放送があり、
その後日譚に近い物語りが本作のよう。
道理でね。
予備知識もなしに観ることが、今回は凶となったわけだ。
間違いなくTV版を事前に観ておいた方が理解は進んだだろう。
それ無しでも楽しませてくれた〔コンフィデンスマンJP〕の好例もある訳で、
要は監督の『羽住英一郎』の手腕の問題。
〔逆境ナイン〕〔ワイルド7〕〔劇場版MOZU〕といった
悪しき前作を思い出したりする。
もっとも、
「次世代のエネルギー開発に纏わる機密情報」なる本作の主軸に対し
鑑賞前から色眼鏡で見ていたのも事実。
あまりにありがちで陳腐なテーマだと、見下していたと言えばより正直か。
ところが物語りが進むに連れ、思いの外ちゃんと構成されたものだとわかって来る。
おやおやきちんと考証されているのだと視方が変わった瞬間。
それは
AN通信とは何か、とか
『鷹野一彦(藤原竜也)』は何故この世界に身を投じたのか、とか
の点でも同様で。
24時間ごとの定時連絡を怠ると爆発する
胸に埋め込まれた爆弾については
最後まで納得感が無かったものの、
それ以外の仕掛けについては、それなりに得心が行くもの。
特に{バディもの}に重要な要素、
我が身を省みず、相棒に対して真摯に向きあう理由、が
過去の体験を含め語れられ件は、
胸に迫るものがある。
実際の列車を使っての撮影も勿論だが、公道でのカーアクションも
見せ場と言えば見せ場。
日本国内じゃあこれだけの外連味のある演出はできないよなと
金の掛け方に感心。
その一方で『田岡亮一(竹内涼真)』も絡めた技斗のシーンは
それほどの斬新さもスピード感も無く。
逆にカットの繋ぎが悪いので、アクションを感じさせない仕上がりに堕している。
過去と現代を往還しながら主人公の生い立ちを語る手法や、
世界観の広がりを出すためだろうか、
各国をぽんぽんと飛び回るシークエンスの繋ぎも
あまり成功しているとは言い難い。
評価は、☆五点満点で☆☆☆★。
24時間のタイマー設定は
サスペンスを盛り上げる装置としては十二分に機能。
が、一方で有能なエージェントをあたら無くしてしまう側面もある訳で。
時代劇のあるある設定、抜け忍には追っ手を放ちとことん追い詰める、が
実際は甚だコスパの悪い掟で、それは組織崩壊の一因ともなりかねない、と
同じ感想を持つ。
何はともあれ、原作者の『吉田修一』による〔鷹野一彦シリーズ〕は
全三作あるらしく、今回はその内二作を使用とのことで
なるほど最後のシークエンスでは、今後に気を持たせる内容にはなっている。