RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド@109シネマズ川崎 2019年9月1日(日)

封切り三日目。

席数127の【シアター2】は満員の盛況。

 

f:id:jyn1:20190903214852j:plain


タランティーノ』は何をしたいんだろうと
三時間の長尺の中に身を置きながら漫然と思いを巡らす。

予告編で『シャロン・テート』が出て来た時から
チャールズ・マンソン』等による惨殺事件が盛り込まるるのだろう
もっともレイティング指定が「PG12」であれば
それほどの凄惨さはない表現だろうとも予想していた。


物語は落ち目のハリウッドスター『リック・ダルトンレオナルド・ディカプリオ)』と
彼のボディダブルのスタントマン『クリフ・ブース(ブラッド・ピット)』を主軸に展開する。

『リック』は架空の人物ではあるものの、現実の幾人かの俳優の
複合人格とも取れるエピソードが多々。

加えて『ロマン・ポランスキー』『スティーブ・マックイーン』『ブルース・リー』と言った
実在の人物も大挙して登場し、監督の過去作同様、
その時代の知識があればあるほど楽しめる内容となっている。


60年代後半のハリウッドのスタジオを舞台に
そこでの西部劇の撮影エピソードがかなりの時間を割き挟み込まれる。

でも『ジャンゴ 繋がれざる者』や『ヘイトフル・エイト』で
もう十分にやり切ったんじゃね?まだ満足してないの?などと考え、
お話がなかなかに進行しないことに怪訝さも覚える。

更には本作の為にわざわざ撮影されたムービーも幾つか挿入され
随分と手間と金が掛かっているな、と。

それは往時のハリウッドのリアルな再現性も同様で、
目抜き通りを走る車は何れもが懐かしいスタイル。

これほどを揃えるのに、どれだけの労力を割いたかと
驚嘆をしつつも、このあと一体どうやって落とし前を付けるのかと
首を傾げながらスクリーンを注視する。


しかし、ややの冗長さも感じられる前~中盤部に比し
終盤で事態は突如急を告げる。

僅かに半日の描写にカウントダウンのテロップを表示し、
そこでの出来事こそが描きたかった核心なのを理解する。

タランティーノ』が望むあらまほしき世界を創り出すことが
要諦だったのだと。

なるほど、二人で一人の人物との二重性の設定そのものが
カギだったのか。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


監督の過去作をコラージュしながらも
古き懐かしい時代のハリウッドにオマージュを捧げた一本。

その時代に生きて、本作に出て来た人々を自在に動かし
彼は映画を撮りたかったのだろう、勿論
叶わぬ望みではあるけれど。