RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

坂道のアポロン@109シネマズ木場 2018年3月10日(土)

本日初日。

席数87の【シアター6】の入りは三割程度と
少々寂しい。


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歴史のある高校は必ず坂の上に在るものだと
勝手に思っている。

小学校や中学は平地でも良いかもしれないが
高校は坂を登った処になくてはいけない。

その行き帰りの道程こそが
ドラマを生むのだから。


家庭の事情で横須賀から佐世保に(共に軍港だよなぁ)越して来た
『西見薫(知念侑李)』は転校先の学校には馴染めず
寄宿先の叔母の家でも窮屈な思いをしていた。

が、ふとした事から、学校中でもワルと目されている
『川渕千太郎(中川大志)』や
その幼馴染みでレコード店の娘の『迎律子(小松菜奈)』と知り合いになり
友情を育みつつジャズの世界にも取り込まれて行く。


時代の設定は1966年。60年安保闘争は衰退し
しかし70年に向けての萌芽は起きつつある。

彼等より年上の世代ではその残滓はあるものの
物語りの中心人物三人はそれとはかかわりなく
甘酸っぱい青春を謳歌しようとしている。


想い想われの関係があり、時として諍いもある。

自分が本当は誰が好きなのか、それとも只の思い込みなのか
ココロは揺れる。

今が永遠に続けば良いとは思っても
年月はそれを許さないし、事件だって起きる。

しかしそれを乗り越えて
ジャズを仲立ちとした三人の友情の絆は強い。

そんなエピソードの数々がきらきらと輝いて
おぢさんになってしまった自分にはどうにも眩しい。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


スタイリッシュなタイトルデザインから始まる本作は
それだけでもう本編の出来の良さが約束されたようなもの。

エンドロールの部分も同様に素晴らしい。

映画としての撮り方も凝っており、流石
監督の『三木孝浩』は所謂ハズレが少なく
安心して観ていられる。


そして主演の『小松菜奈』が
他のイマイチな二人の男優を差し置き上等の出来。

心の微妙な揺らぎの表現もこなれ
成る程直近で多くの作品に起用されているのも納得。