RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

TDC 2020@ギンザ・グラフィック・ギャラリー 2020年7月11日(土)

開館している大手企業主宰ギャラリーの常として、
当該館でも手指の消毒と検温。

他の場所と同様、額で測るものだと勝手に思い
おでこを付き出したら手の付け根で測りますと
受付のお姉さんに苦笑される。

御免なさいね。こんなに頭髪の薄くなった生え際見せられても、
嫌悪感しか浮かばないよね。

 

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ままよと気を取り直して標題展。

受賞作やノミネート作を中心に大量の展示。

まさに玩具箱をひっくり返したような賑々しさに満ちている。

それが楽しさに、毎々足を運ぶ。

デザインのセンスが自分に無いのはとうに判っているからね。


館内は例年通り、そこそこの人の入り。

会期は~8月29日(土)まで。

www.dnp.co.jp

第22回写真「1_WALL」展@ガーディアン・ガーデン 2020年7月11日(土)

月初の再開以降、入館は事前予約制に。

www.e-tix.jp

日時を指定し予約、
入館時にQRコードを提示する。

その後、検温~手指の消毒と進むのはお決まりで。


当日は予定の時刻より15分ほど早く着く。

出て来た係員さんに「大丈夫ですかね」と確認すれば、
中を見渡し、先客三人なので「密でないのでお入りください」と。

駄目だったら出直すことも考えていたのでかなりほっとする。

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出展者は計六名でうち四名が女性。

自分の訪問時にはまだグランプリは決まっていない。


『齊藤幸子』の在日クルド人を扱った作品、
『薛大勇』の台湾の兵役を扱った作品、
『佐々木香輔』の第二次大戦中の日本の地下壕を扱った作品、と
例年以上に社会的な視点を持ったものが多い印象。

ポートレイトや日常を切り取ったスナップも好きだけど、
この手のモチーフにも妙に魅かれたりする。


会期は~8月6日(木)まで。

rcc.recruit.co.jp

植田正治 写真展@キヤノンギャラリー銀座 2020年7月11日(土)

普段であればショップの方からも入場できるのに、
コロナ対策のため入り口を限定しての一方通行。

自動ドアの内側は、係員さんが随時消毒をする
万全の体制。

自分の滞廊中も、他に来場者は二人だけと
スペースに比して密とは程遠い状態。

 

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並んでいるのは〔砂丘〕〔童暦〕等のシリーズから精選された数十点。

ある意味、他で観たことのある作品ばかりも
遍歴を総覧するには良いセレクション。

会期は~7月15日(水)まで。

cweb.canon.jp

レイニーデイ・イン・ニューヨーク@109シネマズ川崎  2020年7月12日(日)

封切り十日目。

席数118の【シアター3】は一席置きの案内だと59。
その七割がたは埋まっているか。

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ウディ・アレン』の最新作は
「IMDb」でこそ6.6となっているものの
「Metascore」では44の低評価。

特に評論家筋には、
2017年以降の「#MeToo運動」に連座して再び取り上げられた過去の問題が
影を落としてるんだろうかとふと疑う。

海外では公開も本国では未だに未定だし、
それまでは毎年のように、多い時なら二本も発表されていた新作も
とんとご無沙汰。

一方、日本国内ではどうかと言えば
概ね好意的な評が多い印象。

やはり自分の目で確かめるべしと、封切りから少々の時間は経ったものの、
劇場へと足を向けたのだが・・・・。


なるほどこれは らしい 一本だ。

本来の目的に悪夢の様に辿り着けない主人公、
テンポ良く交わされる会話、確信的に頻出するスノッブなアイコン、
「カーライル」を始めとする監督自身に身近なスポットの数々、
ヴィットリオ・ストラーロ』の優れた色彩のカメラ。

「私映画」とでも言えば良いか、
主人公の『ギャツビー(ティモシー・シャラメ)』は自己の分身、
アニー・ホール〕や〔マンハッタン〕同様、
若ければ自身が主演として出ていたことだろう。


ウディ・アレン』がNYにマンハッタンに帰って来た、との
快哉は判らぬでもないものの、
逆に言えば手垢の付いたプロットを
若手を起用して撮っただけの再生産。

既視感があり過ぎ、観ていてどうにも居心地が悪い。


それはもう一人の主人公『アシュレー(エル・ファニング)』の扱いにも言えること。

アリゾナ生まれでニューヨークへは二度ほどしか行ったことのないおのぼりさん。

しかし田舎とは言えミスコンの優勝経験もあるフレッシュな美貌に
輝くブロンドヘア。

すれた業界人には逆に新鮮に見え、ちやほやされて舞い上がる。

が、地元民との対比を鮮明化するための造形も、
ややぞんざいに過ぎないか。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


二人にとって慌ただしい夜は夢の如く終わり、
朝が明け、また新しい一日が始まる。

しかしそれは昨日迄とは違った選択がされる日。
デラシネのように漂っていた『ギャツビー』が居場所を取り戻す。

予兆は感じさせながらも唐突感のある幕切れは
アーバニストの気まぐれと表現するにはあまりに身勝手。

一度も撃ってません@TOHOシネマズ日比谷  2020年7月11日(土)

封切り九日目。

席数98の【SCREEN10】は一席置きの案内なので実質49席。
そのほとんどが埋まっている感じ。

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「伝説の殺し屋」と言えば『三谷幸喜』監督作の
ザ・マジックアワー〕での『デラ富樫』。

本当に居るのかどうか判らない人物をめぐるてんやわんやを
繰り返しのギャグを多用して描き、
(彼の映画にしては)なかなかご機嫌な一本。

(主要な登場人物が幾人か被っている)先作の憶えと、
本作の予告編を見て、コメディ作品を期待していたら、
おっとどっこい目指したのはどうやらガチな{ハードボイルド}。

もっとも、そこは曲者の『阪本順治』監督と
脚本の『丸山昇一』。
かなりアクの強い仕上がりに驚くとともに
想定外な展開。


たぶん、ではあるけれど、仲間内でわちゃわちゃと集まって飲んでいる時に、
盛りがったハナシの流れでできたものと想定。

親子での出演も多いし、役柄と自身の経歴がないまぜになった科白からも
それはうかがえ。

石橋蓮司』を主役に据える課題と共に、盛り込まれているのは
消えて行く古き時代の【新宿】へのオマージュとコラージュ。

そこへ過去の映画作品の想いも詰め込んでの脚本化。


嘗て『内藤陳』が【ゴールデン街】に構えていたバーの名前は「深夜プラスワン」。
彼の死因は食道癌だったか。

野獣死すべし〕で『伊達邦彦(松田優作)』が語る『リップ・ヴァン・ウィンクル』の挿話で
飲まされた酒の名前は「XYZ」だったよなぁ。

桃井かおり』も「新宿厚生年金」でコンサートを開いていたし
(後で調べたら1982年と84年に)。

などとの想起が次から次へと湧いて出る。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


主人公が殴られ記憶を無くす等のお約束シーンはないものの、
BGMにはきちんとJAZZ使い、夜のシーンも印象的。

ただ、街が纏っていた猥雑さは、既に画面からは漂って来ないけど。

WAVES/ウェイブス@109シネマズ二子玉川 2020年7月10日(金)

本日初日。

席数99の【シアター8】は半分の案内だと50席。

客はその九割ほど入っている感触。

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恵まれた家庭に育ち、両親からも愛情を注がれ、
レスリングでも優秀な成績を収め、
大学でのスポーツ奨学金給付が決まっている。

音楽も良くし、恋人もおり、なに不自由のない毎日。

しかし、その日常がケガによって突然途切れ、
恋人との間に諍いが起きた時に
18歳の若者はどんな行動をとるか。


彼の身に起きる二つの事件は何れもありがち。
誰にとっても可能性のあること。

それに対する主人公の反応と態度に、
先ずは共感できない。

例え父親が『星一徹』ばりのスポコンであり、
それ以外にも家庭内にわだかまりがあったとしても。

ありふれた転落ストーリーに堕して行く蓋然性が
とんと見えぬのはなんとも息苦しい。


それにしても、アメリカのハイスクールライフは凄いと
重ねて思う。

いや勿論、映像上の誇張はあるだろうけど、
飲酒に大麻を始めとするドラッグの数々、
自分の車を持ち、一軒家でのパーティと
数え上げればこれ以上はないくらいの華やかさ。

オマケに外見も老けていて、最初カレッジでのお話しかと思ったくらい。


などと違和感を持ちながらも生末を見守っていると
ストーリーは第二幕が、一幕の主人公の妹のパートが始まる。

こちらも環境的な違和感はありつつ、
内容的には遙かに得心の行く流れ。

そして両幕を通して見えて来るのは
家族の再生の物語り。

表現的に誇張されてはいるものの
(そうでなければ映画にはならないが)、
家族はこういった営みを繰り返しながら続いて行くんだとの感慨を
改めて持つ。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


現時点で「IMDb」では7.6、
「Metascore」では80の高評価。

しかし、観終わっても、そこまでの良さは感じられず、
135分の尺は冗長にさえ思える。

ひょっとして文化的な下地が違い過ぎることが
共感できぬ原因なんじゃ?と考えぬでもない。

透明人間@109シネマズ二子玉川 2020年7月10日(金)

封切り初日。

席数132の【シアター6】は半分での案内なので実質66席。

その八割ほどは埋まっている印象。

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DVの激しい恋人から策を巡らして逃げ出したは良いものの、
件の男が「透明人間」になり、主人公をじわじわと追い詰める。

プロットは至極シンプル。


原案は何度も映画化されている『H・G・ウェルズ』の〔透明人間〕。

それを現代風な味付けをし、ホラーの要素も加味しながら
非常に出来の良い一本に仕立てている。

ケヴィン・ベーコン』がやはり「透明人間」を演じた作品とは段違いの面白さ。
だって〔インビジブル〕の主人公が真っ先にする行為は
覗きとかなんだから、全くの笑止。


透明人間って、便利なようで不便だよね、だって
服を着られなかったら冬は寒いし、
いったい移動はどうするの?
それにモノを食べた時って異物が体内に入るんだから
透明にならなくね?等の疑問は当然わき、
それを上手くすり抜ける仕掛けを用意するか、または
スルーして物語を組み立てるかは制作サイドの腕の見せ所。

ちなみに最後の疑問については
『H・F・セイント』が〔透明人間の告白〕で一つの解を出している。

それが本作ではすべてを丸っと収める
今風な仕組みが用意され、
なるほどこれなら汎用的だし、ラストのシークエンスへの
繋ぎもばっちりな素晴らしい工夫と感心。


もっとも、主な見せ所は主人公の『セシリア(エリザベス・モス )』が
「透明人間」にじわりじわりと追い詰めらる描写にあり。

ドラゴンボール〕なら気配で察するところも、
そんな能力は普通に持ち合わせていない凡人。

不審さを感じても、その原因が何であるのかの検討がつかぬことで
先ず本人が疑心暗鬼に落ち入る。

次第に元恋人の犯行との確信に変わるも、証明する手段は無く、
周囲には信用されず、おまけに何時襲われるかわからないシチュエーションは本当に怖い。

ちょっとした音にさえ神経をすり減らしびくつき、
前の画面と何か変わったところはないかと、
観客の側も目を凝らす。

見る側にはだれの仕業か判っていても精神的には相当にキツく、
通常作品の倍も疲労するシークエンスの数々。


また「透明人間」が恨みをつのらせながらも
主人公の肉体には決定的なダメージを与えないそれなりの理由も
ちゃんと用意される。

それを逆手に取り、狂人とみなされながらも
『セシリア』は反撃の爪を砥ぐ。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


監督の『リー・ワネル』が〔ソウ〕シリーズの
脚本/製作総指揮​/(出演)だけあって、人を怖がらせる表現はお手の物。

日常の何気ないことから始まり、次第にエスカレーションする意趣返しの数々。
思い付く人間は底意地が結構、悪いのかもしれない。