RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

レイニーデイ・イン・ニューヨーク@109シネマズ川崎  2020年7月12日(日)

封切り十日目。

席数118の【シアター3】は一席置きの案内だと59。
その七割がたは埋まっているか。

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ウディ・アレン』の最新作は
「IMDb」でこそ6.6となっているものの
「Metascore」では44の低評価。

特に評論家筋には、
2017年以降の「#MeToo運動」に連座して再び取り上げられた過去の問題が
影を落としてるんだろうかとふと疑う。

海外では公開も本国では未だに未定だし、
それまでは毎年のように、多い時なら二本も発表されていた新作も
とんとご無沙汰。

一方、日本国内ではどうかと言えば
概ね好意的な評が多い印象。

やはり自分の目で確かめるべしと、封切りから少々の時間は経ったものの、
劇場へと足を向けたのだが・・・・。


なるほどこれは らしい 一本だ。

本来の目的に悪夢の様に辿り着けない主人公、
テンポ良く交わされる会話、確信的に頻出するスノッブなアイコン、
「カーライル」を始めとする監督自身に身近なスポットの数々、
ヴィットリオ・ストラーロ』の優れた色彩のカメラ。

「私映画」とでも言えば良いか、
主人公の『ギャツビー(ティモシー・シャラメ)』は自己の分身、
アニー・ホール〕や〔マンハッタン〕同様、
若ければ自身が主演として出ていたことだろう。


ウディ・アレン』がNYにマンハッタンに帰って来た、との
快哉は判らぬでもないものの、
逆に言えば手垢の付いたプロットを
若手を起用して撮っただけの再生産。

既視感があり過ぎ、観ていてどうにも居心地が悪い。


それはもう一人の主人公『アシュレー(エル・ファニング)』の扱いにも言えること。

アリゾナ生まれでニューヨークへは二度ほどしか行ったことのないおのぼりさん。

しかし田舎とは言えミスコンの優勝経験もあるフレッシュな美貌に
輝くブロンドヘア。

すれた業界人には逆に新鮮に見え、ちやほやされて舞い上がる。

が、地元民との対比を鮮明化するための造形も、
ややぞんざいに過ぎないか。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


二人にとって慌ただしい夜は夢の如く終わり、
朝が明け、また新しい一日が始まる。

しかしそれは昨日迄とは違った選択がされる日。
デラシネのように漂っていた『ギャツビー』が居場所を取り戻す。

予兆は感じさせながらも唐突感のある幕切れは
アーバニストの気まぐれと表現するにはあまりに身勝手。