RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

七つの会議@TOHOシネマズ錦糸町 楽天地 2019年2月1日(金)

本日初日。

同じ「錦糸町」でも新装なった「楽天地」での鑑賞は初めて。

スクリーンは明るいし、音は明瞭だし、席は新しいしで
鑑賞環境は申し分なしも、館内の造作に手を入れるのには限界があったようで
設備の配置も含め、あまり良い動線とはなっていない。

それでも
席数212の【SCREEN11】の入りは九割ほどと盛況。


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セクショナリズム・責任転嫁・情実人事・権力闘争・無謀な売り上げ設定・親子会社間の軋轢と
企業内部でのダークサイドが、これでもかと詰め込まれている。

自分を含め、似た様な環境に所属する者にとっては
身につまされる事柄ばかりが頻出して胸糞が悪くなること間違いなし。

新しいことをしようとすると阻害されるし、
正論を吐けば邪魔者扱いされるし、って?


原作未読なので、タイトルを目にした時には「?」だったものの
冒頭のシーン以降、形勢が動く会議(らしい)場面が七つあるのだなと
勝手に検討を付ける。

実際、大小を含め、人々が社内で鳩首する幾つかの場面が
大きな鍵になっているよう。


オープニングの緊張感あふれる営業会議の場面から
ぐうたら係長の『八角野村萬斎)』が物語の主旋律に出る迄の一連の流れが
相当に見事な語り口。

脚本も練られているし場面の繋ぎもスムース。
オマケに後々の伏線迄もちゃんと張られている。

ただ一つ、主人公がまるっきり感情移入できない造形であることに首を傾げる。

にもかかわらず、不思議なコトに彼に関わった人達が次々と配転されて行く。

そのことに疑問を持った課長の『原島及川光博)』と
課員の『浜本(朝倉あき)』が真相を見極めるために動き出す。

『ワトソン』と『ホームズ』宜しく、二人が狂言廻しになって以降は
推理小説的な側面をも垣間見せる。

そして次第に、『八角』の真意とホントの人格が浮かび上がる。


しかし本編の根本は『池井戸潤』お得意の
あくまでも企業小説。

日本の会社にありがちな(おっと最近では官僚組織により顕著かも)、
連綿と続く隠蔽体質が、もうやめて~と叫んでしまうくらい露出する。

そして徒な希望すら持たせずに、
悪の要素で最後まで押し切ってしまう流れの部分に関しても
なかなか振り切った評価できる姿勢。


一方で、映像のテクニックに凝るあまり、
先々のネタ割れが読めてしまうシーンが複数あることは
ちょっとだけ残念。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


それにしても
暑苦しいまでの演技合戦に
観ているほうもたじたじとなる。

顔がど~~んとアップになる度に
役者の表情筋がもりもりと躍動する。

野村萬斎』『香川照之』『片岡愛之助』『鹿賀丈史』あたりなら自家薬籠中も
『ミッチー』迄もが頬をぴくぴくと震わせ、
あれこんなにできる人だった?とびっくりする。

ほんのちょいの出演までもが充実の配役で
制作サイドの掛ける思いの強さが伝わって来る。