RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話@109シネマズ川崎 2019年1月1日(火)

封切り五日目。

席数127の【シアター2】は満員の盛況。

客層は親に連れられた幼児から老齢者までと相当に幅広い。


イメージ 1



もう随分と前のこと、某有名な肢体不自由な方が
電車に乗るために改札を通るところからの一部始終に遭遇。

一人では何もできないため(ちなみに介添えの人もいない)、
エレベーターに乗る時も駅員さんのお世話に。

電車に乗り終えるまでの流れの中で、アテンドしてくれた駅の人に
感謝の言葉が無かったことにかなりの違和感を持ったことを記憶。


或いは全く別の光景。

車椅子に乗った壮年の男性が席に座っている人に声掛けし、
網棚に置き捨てられたいた雑誌を取って貰った時にも
特に謝辞を述べないこともあった。


本作の予告編から、そんな一こまを思い出したのは
主人公の『鹿野靖明(大泉洋)』の言動があまりに傍若無人に見えたから。

更に本編でも描かれるそれは、
どの程度カリカチュアライズされているのかは判らない。

しかし彼の行為の背景に在る考えに触れるに連れ、
幾つかの共感と疑念は湧き起こる。


介護の負担が家族に偏ってしまう現状と、
それを押し付けようとしている国のスタンスが問題なのには激しく同意。

共生できる社会に変わるべきとの思いには諸手を挙げて賛成する。


ただ多くのボランティアが自身の時間を無償で差し出すことへは
彼等・彼女等のモチベーションがより深く描かれていれば
もっと理解は高まったかもしれない。

『鹿野』が自身をさらけ出して向き合うエピソードは
十分に描写されていた。

一方、幾つかの理由でそこから離れて行く場面も有りつつ
それを取り立てて不義には描いていないことには好感は持てる。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


「ALS」を発症した『ホーキング』を描いた〔博士と彼女のセオリー〕とは
随分と異なる視点に
お国柄の違いが現れて面白いと感じた。