封切り三日目。
席数201の【SCREEN2】の入りは二割ほど。
アメリカでは実際にこのような組織があるのだろう。
共同生活をしながら演劇や舞台を作り上げる過程を学ぶ
夏休みの期間限定のスクールが。
我が子を自立させるるのに執心な国らしい仕組み、且つ
それによりスターが生まれれば一獲千金も夢ではない。
語り口はドキュメンタリーの体裁を取り、
なかなかにユニーク。
ある「シアター・キャンプ」に密着取材した素材を
編集したとの。
しかしその本質はコメディ。
最後のオチまで笑いの途切れる間はない。
創業者の母親が明滅するストロボの映像を見たことから
癲癇で倒れ意識不明に。
後を託された息子が赤字経営に気付き、
その存続に奮闘するところから物語は始まる。
最初は空回りの彼の行動も、
気が付けば一周遅れて実情にシンクロ、
上手くいけば経営は好転するのでは、と
思わせるのも見どころの一つ。
が、本作は群像劇。
主役となるのは、キャンプの講師や裏方、
そして参加している数多の子供達。
何れも個性的な面々が時に反発し、
やがて協業し、素晴らしい舞台を創り上げる。
その過程で起こるのは離反や
新しい才能の発見。
それらが収斂し、成果発表への場へとなだれ込む。
で、このミュージカルのシークエンスは圧巻。
素晴らしい楽曲に振り付け、
ストーリーも感涙モノ。
なかんずく、演じている子供たちが素晴らしい。
ハリウッドを目指しているのであろう彼等・彼女等の
才能は並大抵ではなく、この歳でこれか!との驚きの連続。
とても本邦では及びもつかぬ。
評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。
上映時間90分ほどの短尺も、
詰め込まれたエピソードは盛りだくさん。
{ミュージカル}の大御所を揶揄う科白や(『ボブ・フォッシー』とか)、
或いは演劇が、意外と限られた人向けの娯楽なのを
チクリとした風刺で言及したりの笑いも満載。
運営にまつわるトラブルも適宜挟み込み、
笑って泣ける劇の王道を
その制作過程で見せるとの構造も面白い。
それにしてもこの業界、
やたらLGBTQ+の比率が高い気がするが、
本当のコトなんだろうか?