RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

RUN/ラン@TOHOシネマズ川崎  2021年6月19日(土)

封切り二日目。

席数542の【SCREEN5】の入りは二割ほど。

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ディクスン・カー』が創造した『ギディオン・フェル』博士が解決した事件にも現れるように、
緑のカプセルについては、何かしらの曰くが付いているものと昔から相場は決まっている。


未熟児として生まれNICUに収容、
一命はとりとめたものの、長じても
糖尿病
不整脈
喘息
皮膚疾患
下肢麻痺
の、複数の重い十字架を背負い暮らす『クロエ(キーラ・アレン)』。

車椅子の生活ながらも、シングルマザーの『ダイアン(サラ・ポールソン)』
の愛情にも包まれ、持ち前の才気は「ワシントン大学」への進学も可能なほど。
輝かしい未来が待っているハズだった。

そう、ある日、母から渡された
緑色のカプセルに入った薬に疑念を持つまでは。


いや仔細に反芻すれば、この母娘、
特に母親の言動は何かしらおかしい。

住居は人里離れた場所にぽつんと建てられている。

年頃の娘は外に出ることもなくましてや友人もなく、
スマホも与えられていなければ、
パソコンや電話も母親の目の届く場所にしか置かれておらず。

広い庭は一面が畑として耕され、
家で食べる野菜はほぼほぼそこで賄われている。

一家もそうだが、とりわけ娘の世間からの隔絶は尋常ではない。

全てには、何かしらのウラがあるようだ。


そしてそれを裏付ける事実が次々と提示されるに及び
鑑賞者の側は驚愕する。

偏愛故に蝕まれた心と狂気に怖気をふるう。

娘は母親からの束縛を超えた行為と
心理的な圧迫から逃れることができるのか。

極めて秀逸なサスペンススリラーで
冒頭からラストシーンまでスリリングの連続。

一瞬たりとも画面から眼を離すことを能わず。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


本作は〔search/サーチ〕の制作陣によるものと聞いている。

先の作品は「アームチェア・ディテクティブ」さながら
外に開かれている窓からの情報を駆使しながら
解決に向け邁進する一本だった。

翻って今回はその真逆。
全ての情報の窓を閉ざされた時に
持ち前の知略を使いどう動くかの一つの解。

プロットの組み立てや人物の設定も含め、
すこぶるつきの一本になっている。