RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ドクター・デスの遺産@TOHOシネマズ川崎  2020年11月15日(日)

封切り三日目。

席数150の【SCREEN4】の入りは八割ほど。

f:id:jyn1:20201117073211j:plain


ストーリーの流れを追い、画面を注視しながらも、
原作アリものを映像化することの意味についてあらためて考える。

メッセージ性を強く表現したいとか、
よりスペクタクル感を出したいとかあるだろうけれど
本作の意図は那辺に在ったか。

安楽死の是非を扱いつつ、
犯人を追い詰める刑事の活躍が主線と思われるも
その何れもが中途半端にしか描けていない残念さ。


安楽死云々のハナシでは、嘗て『手塚治虫』が〔ブラック・ジャック〕に
ドクター・キリコ』を登場させ世に問うたのが、かなり早い時点と認識。

また本作中にも触れられているモデルとなった実在の医師もおり、
それはアメリカの『ジャック・ケヴォーキアン』だとされ、
彼は実際に130人を安楽死させている、と。

主人公の娘が腎臓に疾患を抱えている設定で、
エピソードを補強しようと試みるのだが
それがどうにも弱く、犯人のシリアルキラーっぷりのみが際立ってしまい
どうにもいけない。

世に問う、等のレベルにはまるっきり達しておらず、議論も深まらずで、
いたずらに流れに埋没してしまっている。


刑事の活躍についても同様。

前半~中盤迄は、どんでん返しや、
普段我々が持っている固定概念を逆手に取った仕掛けもあり、
ほうなかなかと感心していたものの、
後半の描き方の体たらくと言ったら・・・・。
思わず口があんぐりと開いてしまう。

文明の利器の使用とか、科学捜査とかのイマイマの技術を
一体どこに置き忘れてしまったのよと噴飯し、
それでいて、相棒の勘が冴えに冴える有り得ない描写。

ビブリア古書堂の事件手帖〕を想起させる駄目さ加減で、
観客の力量をなめてかかっているとしか思えず。


評価は、☆五点満点で☆☆☆。


新たなバディものをシリーズ化するための名刺代わりの一本を
通例とは異なり先に劇場公開の思惑かとも思ったがどうやら違うよう。

『中山七里』原作による〔刑事犬養隼人シリーズ〕ではこれが四作目に当たるし、
加えて本作の不出来さを勘案すれば、とってもムリだろうと(勝手に)思ってしまう。