封切り二日目。
席数113の【シアター5】の入りは六割ほど。
てっきり「仁侠」だと思ってた(笑)。
ただ、物語の舞台になるのは
「仁和京徳学園」(たしか)なので、この「仁」でも合っているかも。
ことほど左様に、言葉遊びや
出演者に纏わる裏ネタも盛り込んで、かなり楽しい一本に仕上がっている。
もともとが現代の日本で
「カタギには手を出さない」などとのモットーを掲げる
任侠団体の存在自体がファンタジー。
なので、「有り得ない」とかディテールをとやかくあげつらうのは野暮というもので、
大本の設定を含めて、登場人物の言動と
実世間とのズレを楽しむのが本作の主眼。
一方で「阿岐本組」の面々が吐くセリフの一つ一つは
実は至極正論。
特に主役の代貸『日村(西島秀俊)』と
組長の『阿岐本(西田敏行)』はトリックスター的な側面も持ち、
表と裏の社会をするっと繋ぐ稀有な存在。
その個性的な組長を初め、五人の構成員夫々にキャラが立ち
存在そのものが可笑しいと感じられる造形。
お約束の繰り返しのギャグも随所に取り入れ、
度毎に笑いを誘う制作側の配慮も十分。
が、物語の根本にあるのは
〔緋牡丹博徒〕〔唐獅子牡丹〕から連綿と続く勧善懲悪。
観終わった後では溜飲が下がり、心も温かくなるのは請け合いで。
評価は、☆五点満点で☆☆☆★。
原作者の『今野敏』による〔任侠※※〕は複数作が刊行されているシリーズものと聞く。
舞台となる場所次第ではあるものの、
続編の制作も十分にアリなのでは。