RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

シェル・コレクター@チネチッタ川崎 2016年2月27日(土)

封切り初日。

席数138の【CINE 3】の入りは四割ほど。

この後の回で、舞台挨拶が予定されているので
そちらに廻る人が多いのだろう。


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南の島には色んなものが流れ着く。
ちょっと昔なら、さしずめ椰子の実だろうか。

盲目の初老の男が独り住む小島がある。
彼の一日は砂浜に打ち上げられた貝を拾い
標本にし、記録することに費やされる。

綺麗な標本を作るには、死んだ貝ではなく
生きた貝を一旦煮沸することが必要らしい。


その島に、或る日中年の女が流れ着く。
そのことで彼の抑揚の無い暮らしに
小さなさざ波が立ち、やがて大きなうねりになって行く。


どうにもバランスの悪い語り口に終始してしまった。
例えば彼の日々の生活である。

盲目の割りには随分と小ざっぱりとしているし
綺麗に整頓されている。
しかし、おさんどんをする人は他には居ない。

定期的に島にモノを運んで来る男が一人。
しかし、それ以外の何をするわけではない。
尤も、後々、厄災をもたらしはするのだが・・・・。


一方、そのくせ、家の中での彼は常に手探り。
全てのモノが決まった場所に置かれているハズなのに。

目が見えないことが観客の側に過剰に描写される。


島の外では不穏な情勢が続いているようだ。
或いは、彼は何をして糊口を凌いでいるんだろう。

そう言った背景がキチンと説明されることはなく、
かなりぼやかした描き方に。

それらが本作を、どうにも居心地の悪いものにしてしまっている。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


中年の女がとる行動、またはその後
島外から来る複数種の人々がとる行動の
何れもが間尺に合わない。

エピソードを繋げる為に無理やり造られた様な。


時折挿入される、ややファンタジックなシークエンスを含め、
どうやら無国籍で時代も不確かな
大人向けの童話を創る試みにとれる。

それを寛容する人は、善しと鑑賞するのだろう。