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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

女が眠る時@チネチッタ川崎 2016年2月27日(土)

封切り初日。

席数290の【CINE 4】の入りは一割ほどとかなり寂しい。

ただ観終わって言えるのは、
必ずしも万人受けする作品ではないのは確か
と言うこと。


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前二作がそれなりに評価され
名の通った賞も受けたが、三作目が書けずに
この秋から一般の会社に就職を考えている作家の男が
編集者の妻と伊豆のホテルに滞在するうちに、
不釣り合いな取り合わせのカップルに目が留まる。

老齢の男と、親子以上に歳の離れた
若い女の取り合わせ。


最初の内は、なんとなくの不可解さを覚える程度だったのが、
或る日目にした光景が、この二人に興味を持ち
過剰なほどのめり込んでしまうきっかけとなる。

それは見ようによっては淫靡とも取れる内容で、
これをどうとらえるかが、本作の好き嫌いの分かれ目だろう。

自分は〔人間椅子〕や〔屋根裏の散歩者〕などの
『乱歩』的なものを連想した。

また、実はこれが本作のキモとなるエピソードなのに
煽りの都合だろう、多くの媒体で前喧伝されているのは
かなり残念。


やがて二人と知古を得た作家は、
その間柄を探るううちに、次第に精神の均衡を失って行く。

ただ、この辺の流れも、随分と性急に過ぎ、
もっと時間を掛けて前段階を重ねないと唐突感がありまくり。


半ば以降、不穏なBGMを使い、カメラを意図的に大きく傾げることで、
最初はそうではなかったのに、
男以外の登場人物がミステリアスな側面を見せ始める表現は
ちょっと薄気味悪いほどで好評価。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


やや唐突にも見える幕切れは
実は他に落としようがないからとも思える。

主線は作家の男の心象風景に在るものの、
実際の狂言廻しは初老の男が担っており、
演じた『ビートたけし』、
ちょっと悲しいペーソスを見せながら
アウトレイジ〕とは違った怖さの一面を見せ
かなりの名演であった。


ではあるけれど、男と女の関係性や設定には
首を傾げる点が多かったのも事実。