RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

あいあい傘@TOHOシネマズ上野 2018年10月28日(日)

封切り三日目。

席数199の【SCREEN8】の入りは二割ほどとかなり寂しい。
そして来場者も高齢に振れている。

要は世間的には、その様な受け取られ方をしている作品
との証左なのだろう。


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舞台劇の映画化は、
その脚本家、または公演した劇団、
はたまた出演した俳優のネームバリューを信じて観に行って、
後で「あ~、お金が勿体なかった」或いは
有料放送で観た場合は「あ~時間が・・・・」と臍を噛むケースが殆ど。

なのに何故に本作かと言えば『原田知世』が出ているし
倉科カナ』も出ているし、とただそれだけ。

で、実のところははどうだったか。


要旨を述べるだけでネタバレになってしまうので
注意しながら書かなければいけないけれど、
一言で表現すれば「ウェルメイド・プレイ 」。

登場人物も所謂「善い人」ばかりだし。


前半はその演劇的な表現がやや鼻につく。
監督自身は映画的に撮ったつもりでも
過去の出来事をモノクロでカットバックするシーンを含め
必ずしもそうは取れない。

主要な登場人物はオーバーアクト気味で、
観客が一体となって形成される典型的なファースの仕様から抜け切れていない。
映画ではアクションで笑いが輻輳しリアクションに繋がることはないのだから。

ネタも全編の1/4ほどで割れてしまうし(予告編を見ていなくても、
プロットを耳にしていなくても)、
『寅さん』的な狂言回しの設定も若干のあざとさが漂う。


ところが、最終のシークエンスの展開がかなり意表を突き、
正直、不覚にも落涙してしまった。

家族を思いやる心根があまりにも美しく、
やや上手く事が運びすぎな恨みはあるものの
此処でのエピソードの造り込みは
それまでの停滞を吹き飛ばす出来。


評価は☆五点満点で☆☆☆★。


劇は未見で小説は未読も、大筋は変わっていないと思われ、
映画用に根本から組み直せば、もっと良作に成り得ただろうにと
残念さが漂う一本。

それは、どう考えてもそんな出来事は起こり様が無い、
エンディングのシーンにも如実に表れいる。