RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

暗黒女子@TOHOシネマズ錦糸町 2017年4月14日(金)

封切り二週目。

席数113の【SCREEN8】の入りは三割ほど。

上映時間帯のせいか、
(自分を含め)随分とおぢさんの姿か多い気がする。

それとも、出演者が
ほぼほぼうら若い女子だからだろうか。


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イヤミス」で検索を掛ければ
確実に上位に表示される。

加えて表紙カバーは『大槻香奈』の手になるものなので
気になっている作品ではあったのだが・・・・。


いや~観終わった後に、こんなにイヤな気分になる映画も珍しいかも。
カタルシスも無ければ昂揚感も無い。
ましてやピカレスクロマンでもなく
ただただいや~な感情だけが澱の様にわだかまる。

〔告白〕なんかも同じカテゴリーに分類されることがあるようだけど
観終わった後に残る感想は、まるっきりの真逆。


ミッション系のハイソな女子学園で
文学サークルを主催する『白石いつみ(飯豊まりえ)』が
学校の屋上から落下し死亡する。

自殺として処理されたものの、
何時の頃からか文学サークルの他のメンバーによる殺人ではないか
との噂が園内に流れ始める。

『いつみ』の死により、新たに部長になった『澄川小百合(清水富美加)』は
通常であれば自由なテーマで行われる恒例の自作小説の朗読会を
「前会長・白石いつみの死」と設定し、自分以外の四人に発表させる。

そこで各メンバーが書いた内容は、何れもが
他の一人を容疑者と名指しするもの。

果たして、『いつみ』の死は自殺なのか他殺なのか。
そして他殺であるとすれば、その犯人は誰なのか。


ストーリーはかなり緻密に組み立てられており、
伏線の張り方も上々、予想もしなかった事実も次々に提示され
お約束のどんでん返しもちゃんと用意されている。

単調になりがちな小説の朗読の場面も
各人の背景や思いが反映されているので
一様にならず、メリハリが効き退屈しない。

同じエピソードでも
作者が違えば見方も異なり、さながら
映画で言えば〔羅生門〕、小説なら〔藪の中〕。


少女達は皆が皆、問題を抱え、何人かについては
裏の顔を持つことも容易に想定できはする。

それを驚くような形で露呈させるのが
朗読会の役割なのだが、
更にそれを上回るサプライズを用意したことに
本作の要諦がある。


しかし、出来事自体は奇矯ではあるものの、所詮は
閉鎖的な「櫻の園」の中だけで通用するオハナシ。

女子高生である三年間を過ぎれば
全てはスクラッチされてしまう
スケール自体はとっても小さい。

もっとも、その人生で一番瑞々しい三年間を
どう過ごすかが、もう一つの重要な要素でもあるのだが。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


一番残念なコトは
清水富美加』はさて置き、それ以外の登場人物の殆どが
所謂「美少女」ではないことで
それは『白石いつみ』に顕著。

描写されるような 美 を体現しているとは
とっても言いきれず、その美しさを表現されればされるほど
白けた気分になってしまう。

予算の関係か、明らかにミスキャスト。


ただ、最近注視している
眉毛がきりっとした『平祐奈』は別で、
おまけに本作では、とんでもないことまでやっちゃう役回り、
おぢさんは正直、かなりどぎまぎしてしまった。