RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

日本のいちばん長い日@109シネマズ川崎 2015年8月10日(月)

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封切り三日目。

席数130の【シアター2】は満員の盛況。

高齢者が多いのは
この種の映画の常としても、
中には中学生くらいの少女が連れ立つ姿も散見され、
『桃季』くんのファンなのかい、と
つい勘ぐってしまう。

本作での彼はと言えば、信念はあるものの、
直近の〔エイプリルフールズ〕、
次作の〔ピース オブ ケイク〕にも似た、
かなりエキセントリックな役どころ。

特に青筋を立てて、
やり場の無い怒りをぶつけるシーンの迫真性はたいしたもので、
二枚目の優男から成長していく今後の期待感に溢れている
(頭も丸めてるしな)。

何よりも、色んなタイプの人物の描き分けができるのはたいしたもので、
何をやらせても、結局は自身の投影という、金太郎飴の様な役者とは違い、
今後が楽しみだよねぇ、と思わせる。


原作は『半藤一利』で、1967年に一度映画化されている。
この頃の日本映画は一時期かなり観込んだんだけど
(ましてや「キネ旬」3位だし)、
ど~ゆ~わけか未見。
比較できないのは、個人的にちと辛い。

前作は東宝創立35年記念作品で、
本作が戦後70年と、各々節目の年につくられたのは、
それなりに意味のあるコトなのだろう。

その間に明らかになった新たな事実が
盛り込まれる場合もあるわけだから。


題名にある「一日」が主眼なのは勿論だけど、
半分近くの尺を使い、それに到る経緯を描く。

ただ相応の時間を費やしても、
話がぽんぽんと飛びながら展開されるので、
この時代の知識がそれなりにないと、
人間関係すら把握するのも辛いかもしれない。


2015年たる時代の特殊性もあるのだろう、
テレビでも多くの大戦関連の特別番組が放送されている。

けれど本作も含め、そこで表出するのは
当時の指導者達の官僚的な場当たり的な
定見のない態度で、なんの為の戦争継続なのか、
継続すること自体が目的になっているのではないか、
首都が最早焦土と化しているのに、
本土決戦や部分的な勝利で有利な講和に持ち込める
等の読みが何故出てくるのかが、イマイマの目からすれば
さっぱり理解できない。

話中ではそういった経緯を
かなり皮相な眼差しで描いていて、
竹槍訓練や決戦用の武器を総覧する場面に
そこは顕著。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


「玉音版」を巡っての騒擾につていては周知の事実だけど、
この様に再現として見せられると、
「2.26」でもそうであったように、
要は自分の信念こそが大儀であり、
それと相容れない意見はどんなものでも排除されねばならない
との独善は、実は何時の時代でも普遍的に起こりうるのだと
改めて思った(実際、関係した将校への処罰は
行われていないようだし)。

戦争継続を叫び続ける背景には
天皇」の地位保全
軍体制の継続の二つの側面があったと思うが、
どちらかと言えば後者寄りの表現になっていることが
余計にそのような印象を持たせる要因かもしれない。