RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

第八次椿会 ツバキカイ 8 このあたらしい世界@資生堂ギャラリー 2021年7月4日(日)

会期は6月5日(土)~8月29日(日)と、随分と長めに取られている。

 計六名の作品は、大掛かりなものから
ほんの小品まで。
或いは、過去に目にしたことがあるものから
初見のものまで。

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中でも『宮永愛子』のナフタリンを使ったお馴染みのそれは
大好きな手法。

入念に造形ををしてもやがて空気中に溶け出し
跡形もなくなってしまうだろう。

しかしアクリルケースの壁面には
結晶が張り付き、元有ったモノの痕跡を留める。

形あるものは必ず滅することの理を
ソフトに気付かされる。


それとは別に過去に出展された収蔵作品も展示されており、
畠山直哉』×『赤瀬川源平』のそれは
自分の記憶にも残っているもの。

前者は、あの〔千円札〕、後者はそれが生み出されたアトリエを写真に撮ったもの。

既に物故者なので、新しい作品を目にすることはないけれど、
トマソン〕と共に、この作品も永久に記憶されるのだろう。



シブい工芸 たばこ盆@たばこと塩の博物館 2021年7月3日(土)

コロナ禍を慮ってのことだろう、
ここ暫くは新聞に展覧会の広告は掲載されず、従い
割引券も無し。

(仕方ないので)正規の大人料金100円を支払い入場。

その前には検温と手指の消毒が必須なのだが。

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会期が~7月4日(日)までとのこともあり、
場内はそこそこの人の入り。

でも密になるほどの混雑ではなく、
間隔を空けゆるりと観て回れる程度の。


展示は煙草盆のみならず、それが描かれている浮世絵もセットで。
主に遊郭の場面が多いのは、昔は女性も多く煙草を喫していたからかな。

確かに、自分の祖母の代では、煙管で刻み煙草を吸っていた姿を思い出す。


煙草盆は庶民から大名迄、広範に使用されたものが並ぶ。

意匠を凝らしたもの、或いはざっかけないものと、
それでも常に手元に在るものだから、使い勝手や見目の工夫は
出来る限りでされているのが嬉しい。

まさに副題にある通り
「~地味な立ち位置・たしかな仕事~」の数々。


中には作者の名前が明らかになっている作もあり、
板橋区立美術館」でも見た『是真』は
なるほど漆つながりなのだな、と
独りごちたりもする。


滝平二郎きりえ展 民話の夏@ノエビア銀座ギャラリー 2021年7月4日(日)

ず~っとムカシ、
朝日新聞」の日曜版の一面は
滝平二郎』の{きりえ}だった記憶。

陰影が強く輪郭が太く、
加えて鮮やかな色彩が印象的な。

 

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本展のタイトルは”民話の夏”となっており、
創作民話を題にしたものともとれるけど
並んでいる作品の多くは夏の風物詩を
描いたもの。

「行水」「送り火」。
今となってあまり見かけることもないけれど、
自分が子供の頃はごくごく身近にあった習いの数々。

ああ、懐かしいなぁ、と。
思わず胸が熱くなってしまう。


会期は~7月9日(金)まで。

  

SPORTS GRAPHIC スポーツ・グラフィック@ギンザ・グラフィック・ギャラリー 2021年7月3日(土)

オリ・パラが間近に迫ったからであろうこの企画。

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ある意味雑多な、他方で(特に)日本に於ける
スポーツイベントの歴史を俯瞰できる、
主に平面作品が並ぶ。

主に、と書いたのは
中には立体作品もあるからで。


それにして並んでいる作品は多様。

企業広告ではあるけれど、
短距離走で初めてクラウチングスタイルがとられた時の写真とか。

或いは賛否両論あった(自分は楽しんで見たけど)
2019年のNHK大河ドラマ〔いだてん~東京オリムピック噺~〕のポスターまで。

はたまた、今の時代にはおそらく掲示すらできないだろう
山口はるみ』による「マンズワイン」のポスターも。


監修・会場構成が『浅葉克己・浅葉球』とのこともあり
館内は全体的に遊び心に満ち、
隅の方ににんまりとする仕掛けが有ったり
随分と楽しい空間と化している。


会期は~7月7日(水)日まで。


スーパーノヴァ@TOHOシネマズシャンテ 2021年7月4日(日)

封切り三日目。

席数224の【シャンテ-1】の入りは八割ほど。

普段は女性客や男女のカップルが多い劇場だが、
今日に限っては男性の二人連れを殊の外見かける、
しかも老いも若きも。

作品が客層を呼ぶ典型例だろう。

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スーパーノヴァ超新星とは随分と雄々しいタイトル。

星が消え去る前に放つ、最後の最高の輝きを意図し、
オープニングでもそれは示される。

本作の一方の主人公である『タスカー(スタンリー・トゥッチ)』の境遇を仮託しており、
彼は(おそらく)若年性痴呆症と診断され
薬効もなく、早晩記憶を失い、赤子のようになってしまう。

著名な作家であるとの造形は、
その知性が崩れ去ることの恐怖を
より大きく表現するための仕掛けの一つか。


彼の長年のパートナー『サム(コリン・ファース)』はピアニストとの設定。

しかし、ここ暫く公演会すら開いていないのは、
『タスカー』の症状に献身的に向き合って来たからだろう。


その二人がキャンピングカーを駆って旅に出る。
記憶があやふやなものになってしまう前に、
旧知との交友をしようとの目的。

一種のロードムービー的な流れであり、
ここに映し出されるイギリスの田舎の風景は
ただひたすらに美しい。

それは童心に還ってしまう、
『タスカー』の行く末を表象するよう。


そして喪失についても繰り返し描かれる。

諸々を無くしてしまうのは、
何も彼ら二人に限ったことではない。

訪れる先の『サム』の姉の家でも、
まさにある変化を迎えようとしており、
それにより懐かしいものが消える運命にある。

しかし記憶は残り、思念がある限り思い出は生き続ける。

が、それすらも無くなった時に、
人に残されるものは何なのか。


ゲイのカップルの細やかな情愛が描かれるものの、
男女に置き換えても、何ら不自然さは感じられず。

愛し合う二人が存在するのであれば、
普遍的に起こる情交の物語り。

ラストシーンで『コリン・ファース』自身がピアノで奏でる
エルガー』の〔愛の挨拶〕が
そのことを端的に現わしている。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


現代の医療では対応できない不治の病におかされた時に
とる術についても考えさせられる。

自身の尊厳と、パートナーへの負荷を勘案し、
可能性のある選択肢はいかほどのものか、と。

 



館蔵品展 はじめまして、かけじくです@板橋区立美術館 2021年7月3日(土)

タイトルからは、初心者向けの香りがぷんぷんとするのだが、
勿論、誰が観ても楽しめる、当館ならではのキャプションの添え方も健在。

作者を説明したものと、作品についてユーモラスに語ったものを併せて確認し、
多くの人に知識を持って貰いたいとの、キュレーションサイドの想いが
十二分に受け取れる。

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並んでいる五十点弱の作品の、3/5ほどは
以前に観た記憶があるもの。

それでも『雪村』の〔布袋図〕などは
何度観ても思わずにんまりとしてしまう。

それは『暁斎』の〔骸骨図〕や
『一蝶』の〔一休和尚酔臥図〕も同様で。


表装や箱書きに付いても丁寧な説明があり、
順路通りに見て行けば、
「掛け軸」についての一通りの基礎知識は
しっかり得られる寸法。


会期は~7月4日(日)まで。

www.city.itabashi.tokyo.jp

写真撮影可とのことなので、
例によってばしゃばしゃと撮りまくる人が多し。

ベンジャミン・リー展2021@Spiral Garden 2021年6月27日(日)

会期は6月15日(火)~27日(日)で既に終了。

 自分の訪問は最終日だが、
大した混雑にはなっておらず。

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”The UNIVERSE of an IMAGINATION”との副題が付されている。

展示されているのは、ほぼほぼ
著名人のポートレイト。

それも一目見れば、
名前が思い浮かぶくらいの。


一部、例えば『草間彌生』などは
特別にコーナーが設けられたり。

それだけ、作者の興味を惹く存在とのことなのか。