RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ビューティフル・ボーイ@TOHOシネマズシャンテ  2019年4月14日(日)

封切り三日目。

席数224の【シャンテ-1】は満員の盛況。

そして女性の比率が異様に高く、
主演の『ティモシー・シャラメ』目当てってとこかな?


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実話を基にした映画化であることが
エンドロール前に挿入されるテロップで判る。

原作は映画上での二人の主人公
父の『デヴィッド・シェフ』と息子の『ニック』による、
〔Beautiful Boy: A Father's Journey Through His Son's Addiction〕
〔Tweak: Growing Up on Methamphetamines〕。

各々が父子の手記で、そのまま
本作の構図とも重なっている。


子供を案じない親はいないだろうし
栄達を望むことについても同様。

より高学歴、より大きな会社と、
自己を越えて行くことを切に願うだろう。

安直の誹りは免れないものの、何れも極めて分かり易い指標。

ただ多くの場合、子を授かって初めて
親の気持ちが理解できるようになる。

なのでイマイマの両者には深くて広い断絶があり、
それを埋めることはなかなかに難しい。


一方子供にしてみれば過度な期待は重荷でしかなく、
応えられない時は反発や逃避をしたくなるのは自明。

アメリカではそこに薬物への依存が濃密に絡んで来る。

彼の国に蔓延る幾つかの病理の顕著な例も
映画化して表現したかったのは何なのかと少々首を傾げる。

先に挙げた親子の愛情の溝なのかそれとも社会啓発なのか、
もやっとしたわだかまりが終始ついてまわる。


それを助長しているのが本作の編集。

同じ場所での異なる時制が短いカットでささっと繰り返し挿入される。

人物の容貌があまり変わっていない時には、前後の脈絡が繋がらず
極めて判り難く、あまり良くない語り口。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


もう四十年も前にリリースされた
『フレディー・アギラ』の〔ANAK(息子)〕の歌詞を思い出してしまった。

そこで唄われていたのは、本作での内容と相似。

親子関係の普遍性は洋の東西を問わず、と
改めて気づかされる。