RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

15時17分、パリ行き@109シネマズ川崎 2018年3月19日(月)

封切り三週目に突入。

席数89の【シアター8】の入りは七割ほど。


イメージ 1



先ずは『クリント・イーストウッド』監督の野心作と言っておこう。

以前から何回も書いているように、
その道の達人に演技を鍛えさせ映画に出す手法は確かにアリ。

アイドル上がりの下手糞な演技を見せられるよりも、
或いは、演技はできても所作がなってない役者よりも
余程の迫真さを味わえる。

もっとも役者さんの中には、練達に迫ることができてしまう人が
中には居るのだけれど。


おっと閑話休題。なぜに野心かと言えば、
事件の当事者達をできうる限り呼集し、
自身の役をやらせ(変な表現だが)、
加えて実際にテロが起きた路線・電車を使い撮ってしまうとゆ~、
常人ならとって思いつかない豪胆さ。

でもこれはある意味賭けだな、と。
とってもダメダメな作品に堕す危険性は当然孕んでいる。

で、実際のところどうだったか?


やはり演技の面では今だしの印象。
表情や動きがぎこちない。

そして実際の撮影の現場では、PTSDの問題とか無かったのか、と
いらぬ心配が先に立ち、どうにも映画に集中できない。


一方で面白かったのはラストの叙勲の場面。

実際のニュース映像が併用されているのだが、
まるっきり違和感がない。

当たり前だよね、どちらも本人が映ってるんだから。

まさかこれをやりたいが為の一本じゃないよね、と
ついゲスの勘繰りをしてしまう。


それほど本編には、際立ったエピソードも
特段のサスペンスもない。

テロ事件の顛末は、あっという間にケリがついてしまうので
そこに至るまでの経緯で引っ張る引っ張る。

しかし、それ自体もさほど印象的な出来事があるわけではなく、
何事かを成し遂げるために生かされている、等の
妙に宗教的な科白が頻出し、正直ちょっと辟易。


市井のヒーローに焦点を当て掘り起こす、との
最近の時流に乗った一作ではあるけれど、
物語化自体が正しかったかと、思わず首を傾げてしまう。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


監督のやる気だけが空回りしてしまった印象。

直近の数作に比してもその不出来さは明らかで
九十分ほどの短尺であるにもかかわらず冗長な場面が多々。

なにせ時間の殆どが過去の、彼らの人となりの描写に費やされているんだから。