RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

スリー・ビルボード@TOHOシネマズ上野 2018年2月1日(木)

本日初日。

席数250の【SCREEN2】の入りは七割ほど。


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舞台はミズーリー州の片田舎。

娘をレイプされた上に焼殺された母親『ミルドレッド(フランシス・マクドーマンド )』は
進展しない捜査に業を煮やし、
打ち捨てられていた三つのビルボード
指揮を執る警察署長を非難する広告を出す。

住人の多くが目にし、
地方のメディアでも取り上げられたことから、
町の中で不協和音がさざ波の様に広がって行く。


『ミルドレッド』を擁護する者、或いは
人格者である署長に組する者。

そして、それに纏わる憎悪は、
ビルボードを所有する広告会社に向かうなど
下手なビリヤードのように
あらぬ方向に連鎖して行く。


勿論彼女とて、署長が怠慢であるなどと
頭から信じているわけではない。

しかし、自身の娘への態度が事件の遠因になったのではとの後悔、
或いは別れた元夫が暴力的な警官であったこと、
またはイマイマの警察署の中にも、人種差別主義者が居ることなどがないまぜになり、
この様な挙に出たことがおいおいと語られはするのだが、
娘を奪われた母親の悲しさを差し引いても
彼女の行動には、かなり感情移入できないような肉付け。


そしてもう一人、権力を笠に着て、更には
有色人種への偏見を隠そうともしない警官『ジェイソン(サム・ロックウェル)』についても
それは同様も、
この二人の一方的な思い込みが、
最後には観客をとんでもない場所へと導いて行ってしまう。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


かなりブラックな内容であるにもかかわらず、
多くの場面には思わず笑ってしまうコメディタッチのシーンもまぶされている。

特にラストでは、二つの要素が微妙な力学で併存し
どう反応して良いのか戸惑ってしまうくらいの秀逸な展開なのだ。