RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

クリーピー 偽りの隣人@109シネマズ二子玉川 2016年6月19日(日)

封切り二日目。

席数156の【シアター10】は満員の盛況。


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恐らく本作中での『香川照之 』の演技、
不気味さを漂わせた一連の表現が高評価となるのは目に浮かぶようだけど、
前面に表出させるのは、彼ほどの役者であれば多分さほど難しいとは思われず、
寧ろ〔ゆれる〕での、一人黙々と洗濯物をたたむ、
圧倒的な孤独感の中に薄気味悪さを漂わせる無言のシークエンスの方が
よほど評価に値する。


おっといけねぇ〔クリーピー 偽りの隣人〕のハナシだった。

自分も片手に余る回数の引越しを経験しているけど、
行き先の部屋ついては下調べができても
隣人についてはそれも叶わず、
変な人だったらどうしようと、びくびくモノなのは確か。

その不安に付け込んで、家庭内に立ち入り
家族全体をコントロール
家ごと支配する男が居る。

ご他聞に漏れず、知能は高く立ち回りは素早い。
真面目さと怪しさを交互に出しながら、
次第に取り入ってくる。


その一連の描写がサスペンスだが、
個人的には吸血鬼モノとの共通性も見え隠れするように思え、
単純なサイコパス映画ではないなと。

超自然的にも感じさせる要素を挿入することで
怖さを盛り上げて行く語り口は
おどろおどろしいBGMの多用とも相俟って
かなり手練た造りになっている。


主人公である夫婦が直面する隣人との関係性を一つの柱とし
夫である犯罪心理学者『高倉(西島秀俊)』(元、警察官というのがミソ)が興味を持つ
数年前に発生した一家失踪事件をもう一つの柱に
その二つが交わるときにある種の反応が起こる筋立ては
ある程度読めてはいるものの、観ていて胸騒ぎが静まらない。


とは言うものの、何時もながらの瑕疵はあり、
妻である『康子(竹内結子)』が隣人の『西野』に篭絡される過程が性急に過ぎるとか、
あいも変わらず間抜けな警察機構-特に一介の刑事が勘付いた不自然さに
組織として全く注意を払わない-とか。

まぁそれらも何とか許容の範疇には納まっており、
最後の最後までどう転ぶかわからない
先々のディストピアが透けて見える
やりきれないエンディングではあるのだが。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


こういった反社会的人格者による犯罪は
米国の専売特許で、この国ではあまり関係ないものと思っていたけど
昨今のニュースに載るのは、似たような猟奇性さえ漂わせる
事件が数多。

その点でも、日本も追い付いて来た、と
いうことだろうか。