RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

チャップリンからの贈りもの@チネチッタ川崎 2015年7月20日(月)

封切り三日目。

席数107の【CINE 1】の入りは満員の盛況。

客層はそのタイトルに釣られてだろう
老年のカップル多し。


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鑑賞中から、ああ、またこれは『GAGA』にやられちまったな、と
いう感触がふつふつと湧いてくる。

要は何て事の無い凡作に邦題と予告編と言う衣裳を巧く纏わせ
恰も傑作であるかのように喧伝し観客を動員する。

個人的には〔ローマ法王の休日〕〔少年は残酷な弓を射る〕に続いて
三本目か。

あまり好きな表現ではないけれど、
だって何をしたいのか、さっぱり判らないんだもん。


実際の出来事をベースにしており、
この事件は確かに記憶にある。

チャップリン』の墓が暴かれ、
棺桶ごと遺体が盗まれ身代金が要求される。

しかし程無くして犯人は捕まり、
遺体はヒトではなくモノだとし情状が酌量され、
軽微な罪で済んだような・・・・(間違っているかもしれない)。


本作での犯人達は、甚だしく無能に描かれているが
実際そうだったのだろう、事件を起こしてから逮捕までの経緯を見れば。

また主犯の二人が何れも移民で貧しく暮らしていたと言うのも象徴的。
で、なければ原題の〔La Rançon de la Gloire〕も生きて来ないだろうし。


チャップリン』映画の幾つかのシーンや音楽が
オマージュ的にもコラージュ的にも使われる。

しかしそれらは、唐突感や取って付けた感はあれども
懐かしさは感じない。

墓を掘り起こす一連のシークエンスさえ、もっと面白く出来ただろうに
くすりとも笑えない、とゆ~か、全編を通して
笑い処が見当たらない。

じゃあヒューマンコメディ的な側面が長けているかと言えば、
犯人を演じる二人の面立ちからしてそぐわないし、
重要なプレイヤーである『チャップリン』の秘書の言動さえ、
なんだかなぁ、と言った感じなのだ。


評価は、☆五点満点で☆☆★。


こんな中途半端な作品で「おとぎ話」と表現されても困るし、
中途挿入されるパントマイムや無声映画を意識したシーンに到っては
あまりにも不出来で、最早噴飯ものである。