RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

関ヶ原@シネマサンシャイン平和島 2017年8月26日(土)

本日初日。

席数380と、標題館で最大の【シネマ4】の入りは
六割ほど。

その題材故か来場者は高齢に振れているけれど、
彼等の欲求をキチンと満たせているかと言えば
それは疑問。


本編の殆どが、人間関係のドラマに費やされ、
戦場のシーンは過少。

おまけに当該部分にしたって、かなり泥臭い
表現に終始している。

もっとも、戦闘のリアルさを追求すればするほど
こういった描写になってしまうんだろうけど。


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歴史は常に、勝者が都合の良いように書き変えるものであって
敗者のそれは相当な改竄がなされているのだろう。

しかし時が経つに連れ、新たな資料も発見され
実際に有ったにより近しい内容へと、次第に修正されて行く。


本作では、主人公の『石田三成岡田准一)』を
「義」に生きた人と定義づけ、
それを端的に現わすエピソードを真偽に拘らずに採用、
更にはそれっぽい描写で補強し、一個の人間として描き出している。

もっとも、あらゆることを理詰めで、
それも自身なりの原理だけで判断するので、
理屈を聞けば成る程と思えなくはないものの、
態度だけで示された時に、
なんて取っ付き難い人だと思われる、
あまりにもスクエア過ぎる側面もきっちりと示している。

一方で、
伊賀者である『初芽(有村架純)』との心の通い合いを通して、
人間臭い一面と、営利に拘りのない無私の高潔さとを併せて描き、
そのバランスを取っている。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


『三成』も不人気、
『家康(役所公司)』もさして人気のある人物ではなく
肝心の「関ヶ原」の合戦場面では物量の投下は甚だしいものの、
華も外連も無く、俗に言う「時代劇」としては、まったく成立していない。

が「歴史物」として見た場合は、その評価が俄然違ってくる。

同じ『秀吉(滝藤賢一)』子飼いでありながら
最前線で奮迅した「七本槍」と主に近習の『三成』との不和に乗じ
勢力を拡大した『家康』の腹に一物も二物もある態度は
あまりにステレオタイプではあるけれど
硬軟合わせた世渡り上手は、真逆の『三成』との配置で
極めて巧みな対比となる。


「三成と柿」の逸話(本作ではふれられてないけれど)を初めて聞いた時に、
なんて合理的なんだと、痛く感じたことを思い出す。

彼の人となりを端的に指してはいるものの、
潔さを旨とする武家社会では
受け入れられない思考だったのだろうな。