RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

引っ越し大名!@TOHOシネマズ錦糸町 2019年8月31日(土)

封切り二日目。

 

席数212の【SCREEN11】は満員の盛況。

 

客層は老夫婦から小学生連れの夫婦迄
ホントに広範囲。


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江戸時代の埋もれた史実に光を当て
引っ張り上げる。

 

磯田道史』による〔武士の家計簿〕および
〔殿、利息でござる!〕を右代表と考える。

 

一部の識者しか知らない隠れた小さな歴史であっても
料理の仕方が良ければ、娯楽作品として十分に成立する証左。


似た流れに『土橋章宏』による一連の脚本がある。

 

超高速!参勤交代〕から始まり〔リターンズ〕〔サムライマラソン〕と続くのだが
作品を経るごとに劣化が激しい。

 

それは虚実の配分の仕方が要因で、
わけても必ず盛り込まれる幕府による藩の取り潰しの陰謀が、
ステレオタイプ過ぎて興を削ぐ結果となっている。

 

最初の一本は匙加減が絶妙であったため
世評も良く興行的にも成功したのは周知の通り。

 

でも残り二本は如何なものか?な内容で
特に後者は今年の個人的にはワーストとしたいくらい。


さて、そんなこんなで本作のお題はお引越し。

 

勿論、裏側の主人公は「藩」なので
転封ともなれば家臣総出の大騒動。

 

そのてんやわんやを、なんと七回も繰り返し
「引越し大名」とあだ名された実在の殿様『松平直矩(及川光博)』の家中が舞台。


引越奉行を命じられた『片桐春之介(星野源)』の奮闘ぶりを主軸に
同僚との友情、周囲との軋轢と協調、そして恋愛を経た本人の成長と
テンポ良く物語は進む。

 

国替え時の実際のしきたり等、トリビア的な要素も盛り込み
鑑賞者を飽きさせない工夫も上々。

 

しかし、話の中途から、また何時の如く
幕府の陰謀がちら見えし出す。

 

制作委員会方式の悪弊か?他に盛り上げの手段は考え付かんのか?
困ったことだなと案じていた
その結果は・・・・。


これは監督の『犬童一心』の手柄と推測するが
虚の部分を徹底的に嘘くさく描く仕掛けを随所に入れている。

 

ミュージカルっぽい演出もその一例ながら
主人公の友人である『鷹村源右衛門(高橋一生)』に活躍の場を与えたことが吉と出た。

 

いやもう爆笑なんですけど、このシークエンス。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


お子様には判りにくいであろう艶笑的なエピソードも取り込んで
(実際のこの殿様も、美少年好きだったらしいけど)
笑いの面でも抜かりなし。

 

事実かどうかは知らないが
人情に訴え掛ける場面もしっかり設定し
まずまずの快作として纏め上がっている。