RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

アルキメデスの大戦@TOHOシネマズ日比谷 2019年8月11日(日)

封切り三週目。

席数98の【SCREEN2】は満員の盛況。


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冒頭、衝撃的な場面が挿入される。

真偽のほどは兎も角、
目撃した日本軍兵士ですら驚くほどの出来事。

一兵卒の命をどのように考えているかの彼我の差を明解に表すもので、
言ってしまえば米国は重視、それに比して日本は軽視
いや捨て駒程度にしか考えていないことの端的な表れ。

勿論、あとあと出て来る二つの議論へのアンチテーゼと思われる、何故なら
両論は命を軽んじていることについては同じ穴の貉なのだから。


戦争はしないにこしたことはないのが当然。

が、よしんばすることになったら、
勝ちを取りに行くのが当然の目標だろう。

負ければどうなるかは、戦後直ぐの
日本や或いは独逸を見れば明瞭で
その後は奇跡的な復興は遂げたものの
多くの犠牲の上に躍進が成り立っていることを忘れてはならない。


先の作品でも使用した
二項比較は本作でも表出。

それは、必敗が前提の戦で、
負ける前に早期講和を結ぶ、と
負け方と負け時を選ぶの二つの考え方。

但し、今回はどちらを否とも是とも
断じ難い描写にはなっているし、
史実的には、何れも失敗しているのは自明。

そしてそのために流される血の量を
同様に軽視している点も。

所詮は職業軍人の身勝手な理屈ということ。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


なんとも異色な反戦映画を紡ぎ出したものだな
監督の『山崎貴』は、と思う。

〔永遠の0〕との根底にあるモチーフは同様ながらも
本作では戦闘シーンはほぼほぼ無し。

それでもメッセージはきちんと
観客のもとに届けるのだから。