RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

キングダム@TOHOシネマズ日比谷 2019年5月1日(水)

封切り十三日目。

席数106の【SCREEN12】は満員の盛況。

もっとも十連休中だし、外で遊ぼうにも生憎の雨模様だし
オマケに映画が安い日とくれば、どこの館もほぼほぼ同様とは思われ。

とは言うものの、女性客の姿が多数だったのは正直
意外で、オンパレードのイケメン男優目当てかそれとも
原作のファンなのかと勝手に誰何したりする。

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原作は未読、そして予告編からは
面白そうではあるものの剣戟的な要素が強そうに感じられ、
有料放送に降りて来てから見れば良いかと正直思っていた。

でも世評がどうにも高いのよね。そしてコメントの多くが好意的だし。
ならばと前述の理由もあり、腰を上げた次第。

「君」と「臣」と「奴」、
本来であれば交わることの無い複数の階層が
王宮内でのクーデターを背景に、一つの線に繋がる。

そこから始まる壮大な敍事詩の
本作はほんの序章。

興行成績いかんによっては続編の制作もアリだろうけど、
このままで行けばおそらく、ファンにとっては朗報がもたらされるかも。


それにしても、予告編を何度も目にしてしまったのは少々宜しくなかった。

なまじ印象的なシーンのトリミングなだけに本編の中途で
予告の場面が思いだされ、先の展開やネタが読めてしまう。

良く作ったなぁと評価すべきなのか、それとも
ふざけんなと思うべきなのかは判断に迷うところ。


後に『始皇帝』となる若き秦国王『嬴政(吉沢亮)』の中華統一の夢を縦軸に、
武を以って奴隷から大将軍へと成り上がろうとする『信(山﨑賢人)』の夢を横軸に
登場人物の人となりが理解できるエピソードを盛り込みながら
アクロバティックな剣戟が華々しく展開する。

ドラマのパートでも
異なる身分では、教養・思想は勿論、
それを表現する言語でさえ異なっているため、
会話でさえ本来なら咬み合うハズもないのに
夢と言ったある意味漠然とした目標を共通指標に
一つの方向性に収斂させてしまう造り込みは素晴らしい。

それを表現して見せる配役も的確で、中でも
(現時点での)大将軍『王騎』を演じた『大沢たかお』の威風と
山の民の王である『楊端和』を演じた『長澤まさみ』のしなやかさの表現は特筆もの。

特に後者は〔隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS〕の『雪姫』が
すれっからすとこんなになるかもね、と
独りにんまりする。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


もっとも『嬴政』を軸に「臣」となる二人には
「夷」の打倒や懐柔とのターゲットの存在が不可欠で、
それが有ってこその結束。

当然、戦が無ければ武人の存在も不要なので
『信』の夢の実現にもなくてはならないもの。

一つの国を統べ纏める大義であるにしろ
そのために多くの血が流れ死が必然なことを想起した時に
古代だからこそ成立する歪な世相であるのを忘れてはいけないと思う。