RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

銃@109シネマズ川崎 2018年11月19日(月)

封切り三日目。

席数127の【シアター2】の入りは三割ほど。


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モノクロームの画面がそうさせているわけではないだろうけど、
1960年代後半から70年代に制作された{ATG}作品を
観ているような気分になった。

芸術性が高いので批評家には評価される、が
興行的には成功しないお約束。

正直に言って、その中でもあまり出来の良くない類の。
だってとっても頭でっかちな内容なんだもん、
意識高い系の成り損ない、みたいな。


ひょんなことから実弾入りの銃を拾った
『西川トオル村上虹郎)』が次第に変容して行く。

しかしその一連の描写に合理性がかなりないのが辛い。


随分と理知的なモノローグを吐き乍ら、
やっていることの一つ一つがどうにも危なっかしい。

頼むから、実弾を込めた状態で銃の手入れをするのは止めてくれ。
ましてや撃鉄を起こすなんてもっての外。

あまつさえ幾ら夏場とはいえ、窓を開けっぱなしは有り得ん。
壁に耳あり障子に目ありとゆ~だろ~。
自身の置かれている状況を多少は慮るべき。

ことほど左様に、生い立ちの薄幸さはさておき、
どうにも薄っぺらな人間にしか見えないところが悲しい。


自己が制御できる以上のチカラを持ってしまった時に人はどうなるか?

往年の任侠映画を観た後で上映館から出て来た人は皆々、
肩をいからせ風切って歩いていたとゆ~それと同じか。

理性でコントロールできるつもりでいたのに
チカラを誇示し試したくなり次第に崩れて行く。

その一連の描写が妙に古臭く今っぽさに欠ける。


ごくごく古い主題に、最近の衣裳を無理やり着せてしまった
そんなアンバランスさに根差した違和感が最後まで消えることが無い。


評価は☆五点満点で☆☆☆★。


主演の『村上虹郎』は巷間言われているほど
『西川トオル』の心の揺れを
まざまざと体現できているとは思えず。

特に微妙な表情の移ろいの表現はまだまだで、
多用されるアップには耐えられてはいない。