RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

鈴木家の嘘@109シネマズ川崎 2018年11月19日(月)

封切り四日目。

席数89の【シアター9】の入りは八割ほど。


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物語りの冒頭は衝撃的だ。

長男が縊死しているところを見つけた母親は
何とか手を施そうとはするも叶わず、気を失い、
次に目覚めた時にはその前後の記憶を全て無くしていた。

彼女の容態を気遣う家族は咄嗟に
「長男は引き篭もりを脱し、仕事でアルゼンチンに行っている」と
嘘をつく。

傍目には荒唐無稽に感じられる言い逃れも、それが
納得される伏線はちゃんと張られている。


で、ここからが真骨頂。

嘘がバレるケースに加えて記憶が突然戻る可能性、
二つの危機が存在するわけだから、それにまつわるすったもんだが
笑劇の展開になるんだろう、と通常なら考えるはず。

が、本作はその方向性は採らない。

勿論、笑わせるシーンはそこそこ用意されてはいるものの
ほんの添え物。

残された三人の親族は皆が皆自分を責めて責めまくり
ストーリーはひたすら重く重く沈殿する。


突然、何の予告も無く断ち切られた生に、
あの時こうしていれば、とか
こんなことを言わなければあるいは、などと
たらればを想定し懊悩する。

そして家族は緩やかに崩壊に向かうのか
それとも何かを契機に立ち直るのかがサスペンス。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆。


鬱病の長男を演じた『加瀬亮』をはじめとして
演技陣が特に素晴らしかった。

父親役の『岸部一徳』、母親役の『原日出子』は当然として
妹役の『木竜麻生』がなかなかの出来で
彼女〔菊とギロチン〕
主演だったんだねぇ。

三人とも、時として展開される長廻しに
十二分に対応できていたし。