RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ビブリア古書堂の事件手帖@TOHOシネマズ錦糸町 2018年11月1日(木)

本日初日。

席数159の【SCREEN3】の入りは三割ほど。


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三島有紀子』は好きな監督。

繕い裁つ人〕〔少女〕〔幼な子われらに生まれ〕は
何れも佳作~秀作と思うし、原作ものについては世界観の再現度が素晴らしいと思う。

で、本作。
先に挙げた数作に倣うように、古色蒼然とした古書店の雰囲気、
1960年代初頭の町並みや飲食店の様子は
多くの人が共通して持っているイメージと
たぶん広く合致する。

舞台の設定は上々だ。


物語りの発端は、亡くなった祖母の蔵書の内の一冊を
孫の『五浦大輔(野村周平)』が「ビブリア古書堂」に持ち込もところから。

その本を手掛かりに、若き女店主『篠川栞子(黒木華)』は
『大輔』の過去のトラウマや祖母の秘密を次々と解き明かして行く。

まぁ、この辺は『ホームズ』でもお馴染みの構成で
所謂、名刺代わりなので特に驚くには当たらない。

ただやはり、ここでも『栞子』の造形は極めて優れている。
現実世界から浮遊したような佇まいは、流石に『黒木華』ならではの表現力。


ただ中途からの流れは変転する。

『栞子』が秘蔵する稀覯本を巡っての騒動の合間に
『大輔』の祖母の道ならぬ秘め事のいきさつがカットバックで挟みこまれ
オハナシは静かに進行。

この二つのエピソードをどこでどのように混じり合わせるのだろうと
やきもきしながら観ていると、その仕掛けは驚くばかりの牽強付会

ほとんどやっつけ仕事並みの強引さで
正直、開いた口が塞がらない。


それに輪をかけて酷いのが最後の一連のシークエンス。

あれだけ推理力の優れている女店主に
犯人の見当が付かないのが有り得ないのに加え
普通の人なら子供でもそんな風には動ないよね、と思える行動を
主要な登場人物達はあっさりと選び取ってしまう。

勿論、そうしなければストーリーが繋がらないのは重々承知も
あまりに現実から遊離し過ぎで白けてしまい、物語り世界に全く没入できない。


評価は☆五点満点で☆☆☆。


どうやら彼や彼女は犯罪に遭った時は110番、との
生活原則を忘れてしまっているようだ。