封切り九日目。
席数89の【シアター8】の入りは八割ほど。
冒頭のボーイ・ミーツ・ガールは極めて安直だ。
普通、こんなに簡単には
男女は恋に落ちないだろうし、物語を観る側も
そんな単純さを求めてはいない。
男女は恋に落ちないだろうし、物語を観る側も
そんな単純さを求めてはいない。
しかし、物語の真骨頂は以降の流れにある。
とっても一筋縄ではいかず、極めてタフな語り口が展開される。
とっても一筋縄ではいかず、極めてタフな語り口が展開される。
ヒトを好きになるのはどんな理由からなのだろう?
此処ではその命題が繰り返し現れる。
親に似ている人を好きになる、或いは
初めて好きになった人と似ている人を繰り返し好きになる。
初めて好きになった人と似ている人を繰り返し好きになる。
そもそも 似ている って何だろう?
AIが発達した現代では、顔の類似度すら数値化できる。
では何%以上の一致なら似ていると言えるのか。
そもそも雰囲気は数値化できるのか。
AIが発達した現代では、顔の類似度すら数値化できる。
では何%以上の一致なら似ていると言えるのか。
そもそも雰囲気は数値化できるのか。
おっと話が脇道にそれてしまった。
二人は愛し合うようなるものの、
いなくなった時と同じように『麦』が唐突に彼女の前に姿を現す。
いなくなった時と同じように『麦』が唐突に彼女の前に姿を現す。
同じ容貌の二人のうち、『朝子』はどちらを選ぶのか。
『麦』の造形がかなりエキセントリックなら
『朝子』についても浮世離れしているとの形容が合っているかも。
『朝子』についても浮世離れしているとの形容が合っているかも。
ところがあるシーンで、これは凄いと唸ってしまう。
勿論カメラの技術もあるのだろう。
勿論カメラの技術もあるのだろう。
件の二人の男の夫々と、異なる理由で車を使い北上する車内での彼女の表情。
その片方が、とっても不細工で、おそらくそれが
選択の結果を指し示しているのだろうとは
後になって思うわけだが。
その片方が、とっても不細工で、おそらくそれが
選択の結果を指し示しているのだろうとは
後になって思うわけだが。
東京と大阪、舞台となる二つの場所のどちらかに今いるのかも
判然とさせない場面の繋ぎ。
判然とさせない場面の繋ぎ。
また時制もかなり曖昧に表現しているのも特徴の一つ。
随分と判りにくい語り口だなぁと思っていたが
どうやらそれらも意図的のよう。
どうやらそれらも意図的のよう。
彼女が車の中で寝てしまう度毎に展開が改まるのは、
「一炊の夢」をどこかしら想起させ
〔卒業(The Graduate)〕では描かれなかった二人のその後の
回答編とも見て取れる。
「一炊の夢」をどこかしら想起させ
〔卒業(The Graduate)〕では描かれなかった二人のその後の
回答編とも見て取れる。
評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。
モノゴコロついてから五十年もたつと
あの時こうしていれば、とか
違う選択をしたなら、と
思うことは一つや二つではないけれど、
本作の主人公はそんなことを全く考えない。
あの時こうしていれば、とか
違う選択をしたなら、と
思うことは一つや二つではないけれど、
本作の主人公はそんなことを全く考えない。
あくまでもその時々で自分が正しいと判断したことに邁進するのみ。
その潔さがなんとも雄々しい。
その潔さがなんとも雄々しい。