RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

スターリンの葬送狂騒曲@TOHOシネマズシャンテ 2018年8月14日(火)

封切り二週目。

席数224の【SCREEN1】は満員の盛況。


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洋画を観る際には「IMDb」と「Metascore」の数値を
選択の指標にしている。

前者であれば7.0以上、後者であれば70以上が一つの基準値。

このお陰で本邦での評価はイマイチも、
ああ観ておいて良かった、と
安堵する作品も多々。

直近の代表例だと2016年の〔ボーダーライン〕あたりか。


で、本作、まるっきりその例にぴたりと嵌まり
7.2と88は特に後者で高評価。

一方、国内ではと言えば
「映画.com」で3.2
Yahoo!映画」で3.4
「Filmarks」で3.4
は何れも芳しくない。

この差は一体どこから・・・・、と
当然ながら思う次第。


レーニン』の後を継ぎ、圧倒的な独裁者であった『スターリン』が突然死去する。

その後継者の椅子を巡って、てんやわんやをやらかす彼の取り巻き達。

その一部始終をシニカルなユーモアーで包み込み、二時間弱の尺で描き出す。


指令の絶対化や極端な合議制、事なかれ主義が俎上に上げられ、
いかにも独裁政権下の或いは官僚組織のあるあるが次々と繰り出され
劇場内はそこそこの哄笑に都度見舞われる。

五十年以上も前の、しかも崩壊前の共産圏の話しでありながら
イマイマにも通ずる痕跡を見出し気持ちが暗くなる側面もまったくあるある。


しかし全体的を通せばギャグも冴えず既視感があり、
真剣な権力闘争の様子が前面に出て、どうにも居心地が悪い。

ギャグにも振り切れず、かといって実録ものにもなり切れない中途半端さが
その原因のよう。


彼の統治時代に粛清の名の下、処刑されたソ連邦の人々は200万を下回らないと言われる。

そして暗殺された人の存在を写真を含む公式の記録からも綺麗に消去してしまう遣り口も、
これを嚆矢とするのではないかな。


でもまぁ似た様なコトはフェイクニュースが蔓延する現代でも
平然と行われている訳だが。

いや技術的な進歩が、それを検証し難くなっている今の方が
よほどキケンかもしれぬ。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


そして最初の疑念に立ち返れば、
アメリカという国のロシアに対する現在の感情が
透けて見える気がするわけだ。