RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

羊と鋼の森@109シネマズ川崎 2018年6月10日(日)

封切り三日目。

席数175の【シアター4】の入りは八割ほど。


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う~ん、これは企画の勝利だなと改めて思う。

三浦しをん』が
神去なあなあ日常〕で林業を、または
舟を編む〕で辞書の編纂を描いたのと同列、
一つの特殊な職種にスポットライトを当てることで
幾つかのドラマが生まれて来る。


調律師との仕事自体は見聞きしていても
(図らずも〔家族はつらいよ〕にも出て来るし)、
その内容や詳細については、知らない人がほとんどかと、
勿論、自分も含めて。

本作を観なければ、恐らく一生知ることもなかったろう、
ピアノの構造についても言わずもがな。

そういった教養的な側面も含め
娯楽とのバランスは比較的巧く取れている一本。


しかしそのストーリーはと言えば至って平板で有りがち。
どこかで見て来たエピソードが散見され目新しさもない。

特段に盛り上がる場面もなく、淡々とストーリーは進行、
幾つかのヤマ場も極々身近なコトに収斂してしまい広がりがない。

それによって主要な登場人物たちは
人生に於ける各々のスタートラインにつくのだが
ややの唐突感もある。


が、それらを補って余りあるのが音楽の良さ。

演奏のシーンは少し冗長な感じもあるけれど、ヒトの心を動かす
或いは運命を決定付けるエピソードで、実に効果的に使われている。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


また配役の良さも特筆もの。
これだけ芸達者が脇を固めると、あの『山﨑賢人』が下手に見えてしまうんだから。

中でも劇中でも姉妹を演じた『上白石』姉妹の出来の良さが際立つ。
何処までが素で、どこまでが演技やらと、つい穿った観方をさえしてしまう。