RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

のみとり侍@109シネマズ川崎 2018年5月20日(日)

封切り三日目。

席数175の【シアター4】の入りは五割ほど。

意外と寂しいのでちょいと驚く。

いくら「R15+」とは言え、これはどうしたことかと
訝ってしまう。

少なくとも予告編は面白そうだったから。


しかし観終わって納得、これは観る人を選ぶかも。

これほど情報伝達が早くなった社会では
良い評判も悪い評判も、封切り二日目以降の入りに
直結するのだな。


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越後長岡藩藩士『小林寛之進(阿部寛)』は
些細なことから藩主の不興を買い、
暇を取らせられた上に、
「猫の蚤取りとなって無様に暮らせ」との言葉を浴びせられる。

何が主君の逆鱗に触れたのかも不明だが、「猫の蚤取り」の意味がそれ以上に判らない。

江戸市中を彷徨ううちにそれらしい看板を見つけ中に入って教えを請えば、
それはは所謂「男娼」であることが朧気乍ら知れて来る。


武芸の腕はたち、算盤も得意、おまけに忠義の心も厚い『寛之進』だが
如何せん朴念仁、果たしてこの商売は上手く行くのだろうか?

彼のもう一つの取柄、至って真面目で研究熱心であることが
どうやら救いとなる様だが・・・・。


映画は実際の歴史と虚構の間をゆらゆらと揺蕩う。

折しも『田沼意次』が老中の時代。

重商政策から商売は推奨され、しかし
当時の江戸市中の人口比は、男性>女性であったわけだから、
吉原や岡場所、或いは陰間は当然としても
果たしてこのような生業が成立したものか。

更にいくらお目こぼしとは言え、白昼堂々
デモンストレーションできることもないだろうしな。


なのでそこはそれ、あくまでもオハナシと割り切った上で
起こるてんやわんやや世間の情の深さを、肩の力を抜いて楽しむのが
どうやら吉のよう。

なんとなれば幾つかの仕掛けは用意されてはいるものの、
それらの繋ぎがきちんと整理されておらず、全体的に歯切れが悪い。

もっと違う落とし方にしてくれた方が
余程楽しめたろうにと、残念さの方が先に立つ。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


そして現代のサラリーマン稼業に連なる虚しさを
うすうす感じてしまうのは穿ち過ぎか。

忠義の結果は、必ずしも吉とならないケースの方が
多いんじゃなかろうか。