RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

去年の冬、きみと別れ@109シネマズ木場 2018年3月10日(土)

本日初日。

席数119の【シアター7】の入りは六割程度と
思ったほどでもない。

前評判が高い割には・・・・、なんだが
もっとも主演男優目当ての女性達は
舞台挨拶の回を目指すだろうからな。


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予告編やフライヤーで
「すべての人が、この罠にハマる。」とか
「ダマされる」などと書き連ねられると却って、
だったら見破ってやろうじゃないかと対抗心旺盛なおぢさんは思い、
案の定、物語の中盤を迎える頃には
仕掛けの概略が判ってしまい、興味の方向はディテールに移って行く。

なんとなれば似た設定(特に姉弟の境遇や関係について)の作品は他にもあるし、
仕掛けの根幹の部分もアリがちと言えばアリがち。


ましてや、複数起きる事件のうち幾つかは
警察の捜査が相当に杜撰でなければ成立せず、
正直おやおやと思ってしまう箇所も散見。


そして矢張りと言うか、主演男優の出来が相変わらず良くなくて
表情に乏しく身体表現もできてないし滑舌も悪い。

他にもっと適役が居たんじゃ、と
観るほどに残念な気持ちになってしまう。


にもかかわらず本作の評価が高いのは
人間の異なる複数の狂気の描き方が頭抜けて上手く
それを愛情や愛憎に絡めてのエピソード化が手練れていると共に、
「愛」が人間を犯罪へと誘う恐ろしさや
そのものが持つ二重性が余すところなく描写されているから。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


本編をいきなり「第二章」から始めることで
観客に「おや」と思わせ、倒叙法を駆使しながら
時系列的な整理を判り易く提示するなどの
見せ方の部分でも優れている。

もっとも、先の捜査の杜撰さ以外にも
大事な要素であるお金や物品を
どうやって調達したかの疑問は残る。

が、しかしここではそれを凌駕するほどの
暗黒に満ちた勢いの方を買う。