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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

鋼の錬金術師@109シネマズ川崎 2017年12月10日(日)

封切り十日目。

席数121の【シアター3】は満員。


以前にも書いた通り
ハガレン〕は連載開始時から追い掛けていた。

なので映画化についての驚きは、
おそらく、世間の他の人と同じ。

この遠大な物語を
二時間ちょっとの尺に収めることは土台不可能。
であれば、幾つかのエピソードを拾い上げ再構築、
どれだけ原作の世界観を残しながら
膨らみのあるストーリーに出来るかがキモ。


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なのだが、オープニングからものの数分で
大きなため息が出てしまい、それは最後まで
覆ることはない、
まずもって脚本が決定的にダメ。

元々が緻密に構成されたストーリーなので
その中から制作者サイドの都合により積み上げたとしても、
結果、自己満足。
流れとしても不自然極まりない出来になってしまった。

特に「賢者の石」と「ホムンクルス」にまつわるエピソードは
全てが納得感が全くない繋がり。

鍵となる二つのファクターが次第に明らかになる過程が
サスペンスなのに、最初から了解事項として認識されている設定では
どっちらけ。

これでよく制作委員会がOKを出したものだと
違う意味で感心する。


次に役者もまるっきりなっていない。

日本では子役の演技に比較的寛容なようだけど、
本作では、そこが肝心の要。

そして、それが青年になってからも
不出来なのは観ていて悲しくなる。

なまじ〔gifted/ギフテッド〕や〔DESTINY 鎌倉ものがたり〕を
観たばかりなものだから、余計にそのその感が強くなる。


そしてその二つを受け継いで、演出も
情けないくらいに不出来。

人物の造形からしてイマイチなので
仕方ないとも言えるけど。

唯一まともなのは「ホムンクルス」を演じた三人、
特に『ラスト』が『松雪泰子』ってぇのは
観る側は眼福だけど、映画の要素はそれだけじゃあないし。


映画の大事な三拍子が、揃いも揃っていまだし
なのは、直近では珍しいかも。


アクションの面でも見るべき点は皆無。

錬金術」と言う、折角良い素材を手に入れたのに
それを生かし切ったシーンが皆無なのはナンデ?と
素直に思ってしまう。


評価は、☆五点満点で☆☆☆。


結局は至上の原作を残酷に切り刻み
堕しただけの、時間もお金の投下も無駄としか表現できない一作。

彼の国であれば「ゴールデンラズベリー」受賞
間違いナシ。

続編への含みを持たせた展開にもなっているけれど、
現時点ではまず有り得ないだろう。