RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ナミヤ雑貨店の奇蹟@チネチッタ川崎 2017年9月23日(土)

本日初日。

席数407の【CINE11】の入りは七割ほど。

丁度この回は、全国一斉配信の
舞台挨拶のビューイングが上映時間に組み込まれており、
やたら長い尺だなと勘違いしていたけど、
実際は130分程度なのね。


なので客層は、主演の『山田』クン目当ての
若い女性やオバサン、
東野圭吾』ファンに、単なる映画好きと、
綺麗に分かれている印象。


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珍しく原作を既読。しかもほんの四ヶ月ほど前の読了。
本作の制作発表の報も知らず、何の気なしに手に取った。

一見別々のモノに見える五つの章が、
最終的には二人の人物、二つの場所に収斂する構成は
さすが、と目を見張った。

普段であれば原作は原作、映画は映画と割り切ってしまうとこだけど
本作に限っては、映像化することで
活字が持つ魅力を損ねてしまった典型的な悪例。


冒頭の部分からしてなってなく、
悪童三人組が廃屋に逃げ込んだ時から
家の中と外での時間の流れに加えて、年月までもが変ってしまう不思議に
気付いて理解し受容するまでが本来であれば重要なサスペンス。

それを本編では、さも当然のコトの様に受け入れ
さらっと流してしまう。
いやいや、そうじゃないでしょ、と
突っ込みどころが満載。

余分なシーンを削ってでも、もっとそこにチカラを注げよ、と
思わず毒づく。


それ以外にも、証拠を残さない為にしていた手袋を
廃屋の中ではあっさりと外してしまい、それでいて
捕まる心配を過剰にしている。どうにも理解に苦しむし
整合性が取れていない。

三人組の描き方も、本来ならもっと堕ちた境遇のハズなのに
妙にイイ人になっている。
キャステイングによる制約条項なのかと、かなり残念。

だったら違う役者さんを使えよ、とも思うが
そこいら辺が制作委員会方式の辛さなんだろうな。
兎に角、金を稼がないといかんしね。


各々のエピソードや全体の流れは
原作をほぼほぼ忠実になぞっているので
言うことはなし。

ただ、頭の中で空想していた広がりが
映像化することで逆にちんまりと狭い世界に収束してしまったのは意外で
これがとっても悲しい。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


でも主演の『山田』クン。〔暗殺教室〕の時とは違って
随分と表情が豊かになり、格段の進歩が見られる。

もっとも科白廻しについては、直情的な内容が多いので
それに助けられている側面もあるようだけど。

ただ何本撮っても全くの進化が見られない人とは違って、
今後に期待が持てそう。