RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ユリゴコロ@チネチッタ川崎 2017年9月23日(土)

本日初日。

席数244の【CINE7】の入りは四割ほど。


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山の中でペンション風のレストランを営む『亮介(松坂桃李)』は
末期癌の父親が独り住む実家の押し入れから
ユリゴコロ」と題されたノートを見つける。

そこには、ある女性が幼い頃から繰り返して来た
殺人の仔細が記されていた。

しかしその内容は実際のことなのか、
それともフィクションなのかは判然としない。

機を同じくして『亮介』の婚約者『千絵(清野菜名)』が
何の前触れも無く、突然失踪する。


原作の構成そのものが良いのだろう、
それを踏まえた本編の出来も上々。

先に挙げた二つのサスペンスが、最後の最後でピタリと嵌る流れには
思わず唸ってしまう。


そこに先立つ幾つかの伏線には、実は正々堂々としたヒントが、
しかも科白ではなく映像で仕込まれている。

何れもがほんのチラ見せなので、アッと気付くタイミングは人夫々だろうけど、
そこが判った途端に、仕掛けられた謎の半分は見当が付く。
しかし残り半分はなかなか真正の姿を見せない。

おぼろげながら全体像が俯瞰でき出すのは、ほぼほぼ終盤に至ってから。
全てが理解できた時には、ああ成る程、とつい膝を打ってしまう。
それほど脚本の造りが冴えている。


殺人鬼である『美紗子』を演じた『吉高由里子』が上出来。
蛇にピアス〕でもそうだったように、何かに憑かれたような
エキセントリックな役柄が極端にフィットする
(勿論、〔ロボジー〕のコメディエンヌぶりも板についたものだったが)。

虚なのか実なのかが判然としない中で、
最初は「ユリゴコロ」を求める単なる殺人者であったものが、
あるコトを契機に心が次第に変化し、それが表情にも現れて行く、
その表現が素晴らしい


一つ二つのムリムリな設定はあるものの、
全体を貫くダークなトーンを毀すものではないし、
多くを映像で語らせようとする姿勢が何にも増して素晴らしい。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


ちなみに「百合」の花言葉って
「純粋」とか「無垢」とか「威厳」なのね。