RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ダンケルク@TOHOシネマズ六本木ヒルズ 2017年9月14日(木)

封切り六日目。

席数531の【SCREEN7】の入りは三割ほど。


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そう言えば、第二次大戦時の欧州を舞台にした直近の作品は
戦争末期のものが多かった気がする。

または、その後も消えないナチズムの影を
追ったものとか。


本作の舞台はそれらとは正反対の
独軍が破竹の勢いで侵攻しつつある
大戦初期のフランス。

英・仏の連合軍はドーバーからは
指呼の間に在るダンケルクまで追い詰められ
陸と海から包囲され、制空権もほぼほぼ握られる。

当時のイギリス首相『チャーチル』は
数十万もの友軍を英本国土に撤退させる一大作戦を実行する。


実際の作戦の開始から終了までは十日間弱。

それを本編では、陸での数日間、海での一日、
空での数時間を切り取り
上手に組み合わせて再構成することで
緊迫感が途切れることのない100分ちょっとの作品に仕立て上げている。


兎にも角にも、本来であれば陸・海・空で異なる時間の流れを
違和感なく時系列に並べてみせる、脚本と編集の力量が凄い。

しかも小さなサスペンスを間断無く畳掛ける様に繋げているので
最初から最後までスリルの途切れるいとまがなく
その上映時間の割りには、観終わってからかなりの疲労感を覚える(勿論、良い意味で)。


効果音の使い方もまた上々で、
時を刻む時計の音はいやがおうにも緊迫感を盛り上げる。

見せ方の面では、『クリストファー・ノーラン
流石と、唸ってしまうわけだ。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


戦争の悲惨さの表現についても申し分ない。
いや、どちらかと言えば、自己生存本能の発露
かもしれない。

無辜である民が不可抗力で虚しく亡くなって行くさま。
または、自分が助かる為であれば、
友軍であっても犠牲にしても構わないとの心根の描写。


一方で、大きな作戦が成功するのは
それを支える一人一人の小さな活躍があることにも
きちっとスポットライトをあてている。