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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

東京喰種 トーキョーグール@シネマサンシャイン平和島 2017年8月5日(土)

封切り八日目。

席数143の【シネマ7】の入りは一割程度と
かなり寂しい。

これは場所×時間によるものか
それとも作品の中身によるものか?

自分的にはおそらく後者。


原作は未読。

しかし、もし映画通りの内容であれば
ここまでのヒット作にはならなかったと思われ。


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制作者が意図しようがしまいが
鑑賞者の側はその作品の中に意味性を勝手に見てしまうもの。

本作であれば、それは移民に代表される
マイノリティーの問題だろうか。

自分が選んだ出自ではないのに
周囲の思惑により差別されてしまう。

この国でも過去から繰り返された行為であり、
今後も間違いなく拡大することはあっても
縮小することはないだろう。

いみじくも本編中で、
それに類する科白を主要な登場人物に吐かせている。

が、その表現があまりにも表面的で上滑り。
心底の悲しみが全く伝わって来ない。

しかし、思いっきりエンタメに振れていれば
鑑賞中からこんな寓意に思い至ることはない訳で、要は
作りがかなり中途半端になっているが為の瑕疵とも言える。


吸血鬼映画を含め、人外の生物が人間界に同衾し
しかし彼等がヒトを捕食するプロット自体は過去から繰り返されてきた。

ただ、昔はそれがエンタメに収斂していたのに対し、
襲う側の悲哀を描き始めたのが最近の傾向で、
そこにどれだけ感情移入できるかが面白さのキモなんだが、
本作に関してはそれがさっぱりで、
監督の『萩原健太郎』も、脚本の『楠野一郎』も
勘違いをしているとしか思えない。


それ以外にも不出来な点は山ほど。

こういった荒唐無稽な作品ほど
基本設定がしっかりしていることが重要なのに、
人物の造形を初めとしてあるゆる側面がダメダメで、
例えば、「喰種」に相対するのに最強の武器=火器を
使わない理由とか、
「CCG」の『真戸(大泉洋)』が「喰種」に固執する理由とかの
説明はさっぱりなく、
或いは生身の人間が「喰種」なみに頑丈であるとか。

まぁ、数え上げればキリがない訳で
それらも物語り世界に没入できない大きな要素。


もっとも、滑り出しから中盤まではまずまずのサスペンス。
しかし後半は失笑シーンが続出。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


脇を固める役者についても
意図的に下手を集めたんじゃ?と
勘繰る中で、
唯一の収穫は、冒頭ほんのちょっとだけ
姿を見せる『蒼井優』のエロエロさ。

直近の〔オーバー・フェンス〕では
随分と露出の多い役を演じていたけれど、
そんなことの比ではない。

エロさは、こんな表現でも十分可能である典型例。