RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

マグニフィセント・セブン@109シネマズ木場 2017年2月4日(土)

封切り九日目。

席数89の【シアター4】の入りは三割ほど。


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七人の侍〕があり〔荒野の七人〕があって
本作へと繋がって行く。


七人の侍〕のオリジナル版は三時間半の長尺。
それを〔荒野の七人〕では二時間ちょっとに縮め
本作でもほぼ同じくらいの尺な訳だから
原本に有った幾つかのエピソードはバッサリと削られている。

主に侍を集める経緯と、村人との関わりがそれにあたる。
そこで語られていた人間ドラマを深堀りする場面が無いので、
各人の性格付けは主に言葉に頼るものとなり、若干弱含みの印象。


敵の来襲が予想される村に入り、村人たちを鼓舞しながら
守り抜く、との基本プロットは共通。

七人の侍〕では相手方の人数や所持する武器の数が
ほぼほぼ判っている前提で、前段の個々の対峙により
それを削って行く過程の面白さもあったが
此処では最終場面の集団戦に見所を収斂させ、
馬をも盛大に倒して見せる
アクション部分に相当の重きを置いている。

勿論、味方の側にも犠牲者が出るので、
カタルシスとは素直に言えないけれど
場面場面での昂揚感はあり、手に汗握り
大団円を迎えたラストシーンでの感慨は確かにある。


ではあるものの、食い扶持にあぶれ金が必要との契機はあっても
最終的に命を落とす確率が多分にあるにも係わらず、乗り出して行く
無私な動機が根底にあった『島田勘兵衛(志村喬)』に比べると
本作での『サム・チザム(デンゼル・ワシントン)』では
それ以外の事由が多分にあり、
それを知った上で全編を俯瞰すると、かなり苦い思いも込み上げて来る。

こういった強い説明が無いと
欧米の観客は納得感が薄いんだろうか。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


都度都度流れるメインテーマは〔荒野の七人〕にかなり似ていると思っていたら、
エンドタイトルと同時に『エルマー・バーンスタイン』によるそれが朗々と流され、
成る程、こうしたかったのね、と深く納得。

両方の先達からを上手く編纂し、更には独自のエピソードも
スパイス付けにちょっぴり配した、かなり良く出来た作品ではある。