RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

恋妻家宮本@TOHOシネマズ錦糸町 2017年1月28日(土)

本日初日。

席数114の【SCREEN5】は満員。


イメージ 1



時に説教臭くなったり、科白過多になったりはするものの、
総じて見ればウエルメイドプレイ、
登場人部は皆が皆善人で
嫌な気分にならずに、楽しく観終えることができ、
そして心にほっと温かみが灯る。


自分が小学生だった頃、学校に提出する書類に
「お子さんの性格:優柔不断」と親が書き込んでいるのを見て
衝撃を覚えた記憶がある。

本作でも、この「優柔不断」と言う熟語は頻出する。
何となれば主人公の『宮本陽平(阿部寛)』は何に対しても
決められない男。ファミレスでメニューを選ぶのさえ
迷って迷って逡巡しまくる。

本人に言わせれば「後悔したくない」由だが、
人生は常に選択の連続であることを勘案すれば、
後悔なんかしてたらキリが無い訳で
このかなりデフォルメされた設定を
すんなりと受け入れられるかが、感情移入の分かれ目になる。

まぁでも確かに居るよね、こ~ゆ~ヒト。
自分はコト食に対してはぱぱっと決めちゃうので、
迷う気持ちは判らないんだけど・・・・。


それでも最後には「優柔不断」さは
(より良い意味での)真逆の性格との表裏であることが提示され、
現実に生きている多くの同じように評される人達への救済となり、
妻の『美代子(天海祐希)』が蔵書の中に挟み込んでいた「離婚届」を
『陽平』が見つけたことから始まった騒動は大団円を迎える。

勿論、その中途では山あり谷あり。
なまじお人好しなものだから、
通っている料理教室の女性達の不満や
担任の生徒の家庭内の問題までをも背負い込んでしまい
なにも其処まで肩入れしなくても、と
思うのだが、そこで彼の生来の生真面目な性格設定が生きて来る。


妻との結婚を決めた時の場面が
繰り返し回想で流され、
実はその時が人生に於いての最大の選択だったことが指し示され、
以降は流されるように生きては来たけど、
それはけして間違ってはいなかったこと
或いは、子供が巣立った後の夫婦二人きりの暮しへの新たのた希望が
くすりと笑える幾つかのエピソードを重ねて気持ち良く語られる。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


エンドロールは全ての登場人物が勢揃いし
ミュージカルっぽく演出されているけど、
できれば長廻しのワンカットで撮って欲しかった。

既存の施設をそのまま借りている様子なので
難しくはあるだろうけど、
それをこなしちゃうのがプロじゃないか、と。