RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ドント・ブリーズ@TOHOシネマズ新宿 2016年12月29日(木)

封切り二週目。

席数122の【SCREEN11】は満員の盛況。


イメージ 1



そのタイトルとフライヤーのビジュアルから
てっきりホラーと思って忌避してたんだけど、
予告編の映像を見るとどうやら違うらしい。

専門家の評価も高いので
興味津々で行ってみることに。

結果は大正解。

評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


所謂ワンアイディアもの、且つ九十分弱の小品。

加えて「PG12」なので、それなりに刺激的な表現はあるものの、
その中での膨らませ方が絶妙なので、
体感時間は随分と長く感じる。


嘗ては自動車産業で栄えたデトロイト
今では代表的な斜陽の街。

若者の多くはそこからの逃避を望んではいるけれど
先立つモノも無く、なかなか思うに任せない。


『ロッキー』『アレックス』『マニー』の三人は
重罪に問われない範囲での小さな犯罪を繰り返し
小金をため、やはり州外に出ることを目論んでいる。

そんな三人の耳に、過疎地区に住む盲目の老人が
大枚の慰謝料を貰って独りで暮らしているとの情報が入って来る。

彼等は一攫千金を狙い、その老人の住居への侵入を試みるのだが・・・・。


事前の情報と現実とのギャップの大きさに
戸惑ってしまうのが仕掛けの一つ。

この老人、軍隊上がりで年齢の割にはマッチョ、
おまけに視覚以外の聴・嗅覚は頗るつきの鋭さ。


そして、自身が住む住居の中では
彼こそが帝王と言うことがもう一つの仕掛け。

内部の構造を含め、何処に何があるかを熟知しているので
家中の明かりを落としてしまえば、絶対優位に立ててしまう。


その極く狭い空間で、三人の侵入者と、家(の金)を護る者の
サバイバルバトルが始まる。

本来であれば犯罪者の方にシンパシーを感じるのはおかしいのだが、
行き場の無い若者達の荒んだ暮しを事前に見せられているので
なかなかそうはならないのと、老人が持つある秘密が露呈されることで
増々彼等への肩入れの度合いは強まって行く。

もっとも、盲目なのに、なんでそんなことができるのよ?との
疑問は湧くものの、尋常ではない老人の素顔を表現するには
ぴったりのエピソード。

そしてそれが、三人を外に出さず家の中に閉じ込め
順次襲って行くことの理由付けにもなっている。


一見シンプルな一本道に見えながら、
実は複数の要素が絡み合って行く脚本の冴え。
オマケに一難、二難、三難と次々に襲いかかる試練。

この老人がゾンビー並にしぶといのも
ホラーに近い要素を持たせる一因。

それでもありきたりの怖さではない、
かなり上質なスリラーとして仕上がっており、まだまだ
こういったカタチでも、客を怖がらせることができるのだと
新しいフィールドを提示して秀逸。


タイトルは、(気配を感じさせないように)息すら噛み殺せ、との意だが
観ている側は、息をすることすら忘れてしまう。

それ程の緊張感を最初から最後まで強いられ
観終わった後はどっと疲労すること請け合い。