RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

アズミ・ハルコは行方不明@109シネマズ川崎 2016年12月10日(土)

封切り八日目。

席数89の【シアター8】の入りは八割ほど。


「PG12」指定は何故に?と思っていたら
主演の二人の女優さんのカラミのシーンがあるのね。

ちょっと吃驚しちゃった。
ファンの人達はココロして観に行くよ~に。


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舞台は関東外郭の小さな街。

28歳、OLの『安曇春子(蒼井優)』が
突然失踪する。
家族は捜索願いを出し、「尋ね人」のポスターも掲示される。

同じ頃、男性だけを狙い暴行する
「JKギャング団」が現われる。

その一~二年後、『安曇春子』の尋ね人ポスターをキャプチャーした
ステンシルによる落書きが街中に氾濫する。


物語りは幾つかの時間を往還しながら
複数の人物についてのエピソードを散文のように語る。
なので観客の側は、その内容を膨らませながら
時系列に再構成する必要がある。

同じシーンが幾度も繰り返されることが
それを難しくしている。

しかし、今までてんでばらばらに見えていたものが
今現在に収斂する時、我々は其処に仄かな光明を見る。


本作での登場人物達は
多くがコミユニケーション不全に陥っている。

そして狭い街に縛り付けられてしまった
行き場の無い閉塞感。

それらがステレオタイプな依存関係を生む。

男に頼り愛されることで現状を打破しようとあがく
若い女達。

男達はそれを見透かした様に、自己中心的になる。

『安曇春子』ともう一人の主人公『木南愛菜高畑充希)』は
男達に散々振り回される。


そのシステムを破壊する集団として
「JKギャング団」の存在がある。

彼女等のターゲットはあくまでも男であり
歳上の女達は価値観さえ共有できない埒外の存在。

しかし彼女等の行動は、社会全体のシステムを変えるほどの
大きなうねりにはなっていない。

あくまでも局地的な萌芽なのだ。


『安曇春子(蒼井優)』は本当に行方不明なのだろうか。
尋ね人のポスターには「当時28歳」と書かれており、
要点を整理する限りでは、
ほんの一年ほどの不在をかこっているだけではないのか。

ステンシルテンプレートで限りなく増殖した彼女の情報が
我々をミスリードしているだけではないのか。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


高畑充希』は今まで多かった優等生的役柄から大きく外れる
所謂ギャルを演じ、新しい側面を見た思い。

そして『蒼井優』、もう三十歳なんだねぇ。
リリイ・シュシュのすべて〕の時は十六だから
時間の経つのは早いや。

自分もおぢさんになるわけだ。