RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ある天文学者の恋文@TOHOシネマズシャンテ 2016年10月24日(月)

封切られてからはや一ヶ月。

席数201の【CHANTER-2】の入りは二割ほど。
客層は高齢のご婦人の比率が高い。


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既に亡くなっている人間から定期的に手紙が送られてくる。
やや手垢の付いたストーリー。

直近では〔バースデーカード〕もそうだし
宮崎あおい』主演で言えば〔ただ、君を愛してる〕も似た様なモチーフ。

いずれにしても、超自然現象でそんなコトが起きるわけはないので
誰かが手紙を出す作業を代行しており
その仕掛けの部分にどう捻りを加え、新奇性を出すかがキモ。


本編でメッセージを送るのは天文学者の『エドワード・フィーラム(ジェレミー・アイアンズ)』、
それを受け取るのは、彼の教え子で且つ只今の愛人、
スタントの仕事をしながら博士課程で天体物理を学ぶ『エイミー(オルガ・キュリレンコ)』。


で、本作はまるっきりイマドキ。手紙は勿論、
SNSを使うわ動画を送るわ宅配便までをも利用する。

その何れもを『エイミー』は絶妙のタイミングで受け取り、
普通ならそんなことある訳ない、と鼻でせせら笑うところも、
亡くなる前にも、そんなことを絶妙な間合いで実行してしまう
エドワード』の精緻さを伏線として見せられているから、妙に納得してしまう。


彼女は彼の撒いた伏線の後を追い、
想い出の地を辿る。

しかしこういった行為も、当たり前だけど有限。

では何故彼が死に逝く直前の体力と知力を駆使して
この様な仕掛けを施したのか。
その理由がもう一つの物語の鍵になる。


二人の主人公が属するフィールドを
宇宙にしたのは示唆的で、我々が現在見ている星の光は
数十億年前のもの。

それと同様に、一度インターネット上にアップしたものは
人類が続く限り、永久にそのネットワークの中を生き続けるだろう。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


もっとも先に述べたように、こんなことを行うには
多くの協力者が必要で、家庭人としては失格の『エドワード』に
ホントにそんな人望があったんかいと、疑問に思う部分もあるし、
若い愛人にラップトップをぽんと買ってあげたり
イタリアの孤島に別荘を持ったりと、あちらの教授は
良い暮らしをしてるんだなと、随分と羨ましくも思う。


また物語の転換点となる幾つかのシーンに
これ見よがしのサインが現われる。

こんなもの無くても、流れとして与える印象は
全く問題ないんじゃないか。蛇足だろう。