RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ハドソン川の奇跡@109シネマズ川崎 2016年9月24日(土)

本日初日。

席数246の【シアター1】は満員の盛況。


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本作もまた、数年前に起きた
そして記憶に残っている事件の映画化。

原題の〔Sully〕は事故が起きた当該機の機長の愛称。
これにより、実は本作はスペクタクルではなく
人間ドラマの要素が濃いコトが事前に指し示されている。

監督としての『イーストウッド』が
特にチカラを入れている方向性。


ではあるものの、やはり航空機が
ハドソン川に着水するシーンの迫力は相当のモノ。

異なる角度から繰り返し描かれる訳だが
直近のVFXの威力をまざまざと見せつけられる場面でもある。


機長の的確な判断、他の乗組員達の正しい対応、
民間船を含めた迅速な救助活動。

幾つもの幸運が重なり、死者ゼロという驚異的な結果が
「奇跡」とされ、海外へも配信、それにより我々は
コトの次第を知っ訳だけど、
主だった報道はそこまで。

その後、機長の判断の確かさについて
国家運輸安全委員会」での査問が有ったことなどつゆ知らず、
英雄が一転、犯罪者の扱いにされたのであれば
成る程これはドラマに成り得る。


もっとも各委員とて、好んで犯罪者扱いをしたわけではなく
今後似た事象が起きた時のケーススタディの意味もあり
ホントのところはどうだったのか?を明快にする必要もコレありで、
一方的に悪者じみた描写をされているわけではない。

それでも、ほんの些細なきっかけから
正しい結論が導き出される過程は、
幾ら原作があることとは言え緊迫のサスペンス。

イーストウッド』の力量は
こういったシーンにこそ端的に現われる。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


事故が起きてから着水まで、
実際は三分程度のほんの短い瞬間。

そこを膨らませても限界があり、
本編の尺は百分弱とかなり短い。

機長の人となりについてのエピソードも
あるにはあるが、観客が最低限知っていれば良いだけの
必要最小量に抑えられている。

もっと描き込もうとすればできたハズなのに、
監督としては、これくらいが適量と判断したのだろう。

その分語り口のテンポが良いわけで、
やはり造り巧者だな。