RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

怒り@109シネマズ川崎 2016年9月19日(日)

本日初日。

席数246の【シアター1】は、ほぼほぼ満席。


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郊外の住宅街で、夫婦二人の惨殺死体が発見される。

家のドアに「怒」の血文字を残して逃走した犯人の
身元は直ぐに判明したものの、その行方は
一年経っても杳として知れない。


時を同じくして、千葉・東京・沖縄の三か所に
犯人の手配写真に似た男が姿を現す。

夫々が何らかの秘密を抱えているようでもあり
また薄気味の悪さも漂わせている。

三人の内の誰かが犯人なのか、
それとも彼等はなんの関係も無く、
全く別の処で息を殺して潜んでいるのか。


勿論、実在の世田谷の事件と
英国人女性殺害事件の両方に着想を得たものだろうけど、
単純な犯人探しに終わっていないのが本作の周到なところ。

三人に係る三組の男女が、それによって運命さえも変えられてしまう。
彼等は極めて大きな触媒として機能している。


また此処では、今、日本や地域が抱える課題や問題を
ある時は判り易く、またある時はメタファーに近いカタチで提示している。

前者の例で言えば、沖縄の基地問題が挙げられるだろう。


三つの場所と、事件当日と只イマを自由に移動しながら
物語は結末に向かって収斂する。

が、全てが白日に晒されても、果たしてそこに救済はあるのか。
語られている中途から感じていた、ずっしりと重いわだかまり
ココロの中に大きく残っている。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


三か所に別れて展開される重厚なドラマを支える為に、
手練れの役者が複数アサインされており、これはむべなるかな。

特にここでは、二人の女優さんが
常にも増して素晴らしい。


一人は『宮崎あおい』。

人を疑うことを知らない、ある意味無垢な娘を好演。
これだけの演技ができる人が、今の若手でどれほど居るだろうか。


そしてもう一人は『広瀬すず』。
直近の作品とはうって変わってシリアスな役柄。

それを真摯にこなしながら、
とっても大変な目に遭ってしまう。

そりゃ~彼女にとっては演技の一環であり、
こなせる女優さんであるわけだから、
問題ないだろうけど・・・・。

おぢさんは、かなりどきどきして
ちょっと胸が苦しくなってしまった。


※先の事件を参考にしているのであれば、解決済のそれからは、
犯人の検討が自ずと付くけれど、そこは虚心にして
映画の世界に没入するのが吉。