RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

神様メール@TOHOシネマズシャンテ 2016年5月29日(日)

封切り三日目。

席数201の【CHANTER-2】は
ほぼ満員の盛況。


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キリスト教圏で、
神やキリストについて語ることは
相当難しいんだろうとの察しは容易につく。

本作は相当危ういロープの上を渡っているんじゃないかと
観終えてから思う。


旧約聖書の「創世記」の部分を大胆に翻案し導入部に。

「神」はブリュッセルのアパートに妻・娘と一緒に暮らし、
普段は家人に対してとんでもない暴君ぶり。

人間に与える試練も、ほんの退屈しのぎで、
「マーフィー」なみの意味不明な
人々を困惑させるためだけの法則を次々と作り出しては悦に入っている。

創造主としてはとってもイヤミな造形。


それに加えた設定として
妻は女神、
神の子=イエスが居たのなら
本作の主人公である神の娘『エア(ピリ・グロワーヌ)』も居たって良いだろう、
まだ世に出てないのは父である神から幽閉されているから、なんて
皮肉が効いている。

神は全ての御技をパソコンを通して行い
自身では特異な能力は何一つ持ち合わせてない。
なので奇跡を見せる息子や娘に常に苛立っている。

オマケに外の世界では、からっきし弱っちいときている。


そんな父親に娘が反旗を翻えす。
手始めに全人類の余命を知らせるメールをパソコンから一斉配信してしまったから
世界は大混乱。

自分があとどれくらい生きれるかを知ってしまった人々は、
神への敬畏の念も無くしてしまう。


そして彼女は新たな六人の使徒を見つけるため
地上に降臨する。


『エア』が「新・福音書」を書くための
六人の使徒候補との関わりがメインのエピソード。
ただ正直、もっとはじけた、或いはブラックな内容を期待していた。

実際は現実世界へのアジテーションになってはいるものの、
ソフトでほのぼのとした描写。

多くの人々がケータイやスマホを持っており
それが神からの啓示の手段として使われるアイディアは秀逸なのに
その後のキレがいまひとつ。


上手く創れば、もっと大爆笑の連続になっただろうに、
くすりとした笑いが時として起きる程度。

もっともそれは、文化の異なる日本人だからなのか、とも思ったが
同じ上映時間に居た複数の外人さんも似たような反応。

笑いどころに差異はないよう。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。

総じてみれば、母性や女性賛美の大人向けのファンタジー
後味良く、ほわっとした気分にはなれるけど。


でもまぁ、主演の『ピリ・グロワーヌ』の可愛さに
かなり救われている。

最後に見せる彼女の笑みこそが
一番の救済。