RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ヘイル、シーザー!@TOHOシネマズ川崎 2016年5月14日(土)

封切り二日目。

席数240の【SCREEN7】の入りは五割ほど。


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タランティーノ』の〔ヘイトフル・エイト〕もそうだった。
最近、この世代の監督達の
往時のハリウッド映画へのオマージュが多いように感じる。

勿論、スタジオシステムが生きており、
共産主義の影が差し、
今となればけして良い時代ではなかったかもしれないが
作品そのものに対する憬れ。


本作でも、とあるスタジオが大枚を出資する超大作
〔ヘイル、シーザー!〕の撮影が進行中。

そんな中、主演俳優の『ベアード・ウィットロック(ジョージ・クルーニー)』が
脈絡も無く突然何者かに誘拐されてしまう。

事件の解決もハナシの筋としてはあるけれど、
しかし、この誘拐そのものは、脇に置かれても良いエピソード。

スタジオ内で起こるトラブル処理専門のエージェント
『エディ・マニックスジョシュ・ブローリン)』の一日を描くこと、
並行してスタジオ内で撮影されている、
ミュージカルや西部劇のシーンを見せることこそが
実は本編の眼目。


〔ヘイル、シーザー!〕とのタイトル自体〔クレオパトラ〕を想起させ、
しかし主題が「キリスト」ならば〔ベン・ハー〕でしょ。

誘拐される『ベアード』は若干おつむが弱く
それでいてゲイに好かれる人物に描かれ、あるかも、と思わせたり。


ミュージカルで水中シーンを演じる『ディアナ・モラン(スカーレット・ヨハンソン)』は
清純派で売っていても、私生活は男に対してだらしない。
美しいシーンとの対比ね。

踊る大紐育〕のようなミュージカルシーンでは
素晴らしいタップを踏む『チャニング・テイタム』を観られる。

科白の下手な西部劇俳優『ホビー・ドイル(アルデン・エーレンライク)』の
エピソードは〔ローン・レンジャー〕や〔雨に唄えば〕のシーンを彷彿とさせる。

数え挙げればきりがないし、
映画の本数を観込んでいるほど楽しめる。


勿論、これらは、
撮影している現場を更に撮っている入れ子構造になっており、ただ
劇中劇は昔からあるわけで、そこ目新しさはない。
やはり、これだけ多くの作品を一本の中に注ぎ込んだところが手柄だと思う。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


予告編や事前の告知から想定していた内容とは
かなり異なるなというのが正直な印象。

前宣伝の仕方次第では、もっと客を呼べただろうに。